【野球】広島・飯田哲矢スコアラー チーム支える“10センチの違い”逃さぬ目

 昨季限りで現役を引退した元広島の飯田哲矢氏(29)が、3軍のスコアラーとしてチームを支えている。リハビリ組や高卒1年目の選手が属する3軍は、今年から育成と強化を目的とした新たな役割を担う。飯田スコアラーは投球の軌道や回転数を計測できるラプソードなどを使って投球解析を担当している。

 3軍が新たな仕事場になった。飯田スコアラーは5人の強化指定選手がブルペンで投球練習をする際に、タブレット端末と向き合いながら1球ごとに送られてくるデータに目を向ける。可視化された数値を育成や強化につなげるのが目的だ。

 「情報が蓄積されていけば、悪い球があったときの修正に役立てることができる。少しでも若手の成長を後押ししたい」

 ハイスピードカメラや投球の軌道、回転数を計測できるラプソードをフル活用するが、なかでも飯田スコアラーが注目する数値はリリースの高さだ。

 島内は、直球は地面から高さ1・7メートル台で投じているのに対して、変化球は1・6メートル台だった。わずかな違いでも打者からすれば球種を特定するカギになる。どの球種でも同じリリースで放せるのが理想で「変化球は途中までどれだけ真っすぐと同じように見せられるかが大事」という。数値を伝えられた島内は早速、フォームの修正に取り組んだ。

 昨季終了後に戦力外通告を受け、現役引退を決断。球団からスコアラーとしての打診を受けた。「迷いはありませんでした」。プロに導いてくれた球団へ恩返しをしたいという思いがあった。

 5年間のプロ生活。最も印象に残っている登板は、18年6月15日のソフトバンク戦(ヤフオクドーム)だ。六回から登板し、2回を無安打無失点。3連続を含む5三振を奪った。左打者を確実に抑えるために前年秋に上手投げから横手投げにモデルチェンジ。「サイドに転向して初めて1軍で投げた試合」で最高の結果を残した。

 亜大、JR東日本と野球のエリートコース歩みながら、カープでは長く2軍暮らしも経験するなど、山あり谷ありだった野球人生。そんな自身の経験を若手に伝えていく。

 「良いときばかりじゃなく悪いときも必ずある。そこでどれだけブレないでやれるかが大事。1年1年を無駄にしないようにやってほしいし、良いパフォーマンスが出せるようにサポートしていきたい」。第2の野球人生でも使命感を持って歩んでいく。(デイリースポーツ・市尻達拡)

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