【スポーツ】26年ぶり箱根路に挑む筑波大、復活3つの要因 第1回大会Vの古豪

 来年1月2、3日に行われる東京箱根間往復大学駅伝に、筑波大が26年ぶりに帰ってきた。前身の東京高等師範学校は第1回大会の優勝校。19年大河ドラマ「いだてん」の登場人物で箱根駅伝創設に尽力した故・金栗四三氏も卒業生だ。箱根駅伝創設100周年の節目に伝統校が箱根路に復活した。

 10月の予選会で6位に入り本戦出場を決めると、全員で跳び上がって涙した。26年の長いブランクを埋めた理由は3つある。一つは「箱根駅伝復活プロジェクト」の名の下に開始されたクラウドファンディングだ。筑波大は国立大のため部費が出ず、活動が限られていた。だが15年の弘山勉監督の就任後に始めたクラウドファンディングが成功し、これまでに集めた金額は計1200万円に上った。合宿回数を増やし、スポーツトレーナーも雇えるようになるなど、環境は格段に良くなった。

 2つ目はチームの士気の高まりだ。きっかけを作ったのは主務の上迫彬岳(あきたけ・3年)。以前からチームに危機感を抱き「箱根を目指すチームとしての甘い部分がある」。募らせた思いは6月に全日本大学駅伝予選会を逃した際に爆発した。「特に悔しそうでもなかったし、ミーティングも開かない」と、チームの意識を変えるべく自らプレゼンテーションを行った。

 上迫は「(箱根駅伝上位校は)自分たちより整った環境で自分たちより必死に練習しているのに、僕らは全身全霊ではない。それで果たして勝てるのだろうか」と部員に訴え、「出るためにはどれだけのことを犠牲にしないといけないか」と疑問を投げかけた。最後には「これだけ苦しい思いや犠牲を払ってでも、ほんとに(箱根に)出たいかどうかきっちり話し合おう」と提案。後日ミーティングを行い、問題点を話し合った。結果として部員の数は減少したが、チームの目標は一つになり団結力は高まった。

 学生個人の努力も復活への原動力となった。川瀬宙夢(5年)は、箱根出場を目指す一方で、スポーツドクターを目指す文武両道の医学群の5年生だ。医学生として多忙の毎日を送っていても、決して練習の手は抜かない。実習でチームメイトよりも練習時間が少なくなる時は5時に起床し、夜は20時半を過ぎても練習を行った。予選会を含めて箱根駅伝出場は4回までという規定があり、今回が最後の箱根路。5年間チームを見てきただけに「元々仲が良いチームだけど、今年のチームはお互いの痛いところも言い合える」と改善したチームに胸を張った。

 努力でつかみ取った箱根切符に弘山監督は「感慨深い。節目にまた戻ることができた」と目を細める。目標は翌年のシード権が獲得できる10位以内。創設100周年の節目を、完全復活のターニングポイントにする。(デイリースポーツ・田中亜実)

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