【野球】新たな得点パターン確立した周東の足 プレミア12総括…東京へ収穫と課題

 野球の国際大会「プレミア12」で優勝し、トップチームでは2009年WBC以来、10年ぶりに世界一となった侍ジャパン。来夏の東京五輪での金メダル獲得へ弾みをつけた。頂点への8試合の中で見えた、五輪への収穫と課題を分析する。

 今大会で侍ジャパンは新たな得点パターンを確立した。稲葉監督が強いこだわりを持って選出した快足男、周東の存在がそれを可能とした。「終盤に代走で出て、警戒の中でスチールができる」。代表発表時、その魅力を熱く語った指揮官。大会最多の4盗塁と、言葉にたがわぬ威力を見せた。

 象徴的な場面が11日の豪州戦だった。1点ビハインドの七回。先頭で出塁した吉田正の代走で登場。二盗、三盗を決め、最後は源田のセーフティーバント(記録は野選)で生還した。相手監督が「ワールドクラス。群を抜いている」と舌を巻くスピードで、その名を世界に知らしめた。

 今大会は五輪前で最後の真剣勝負の舞台となった。その中で相手に脅威を与えた背番号23。だが、来夏の東京五輪でも、とは簡単にはいかない事情がある。金子ヘッド兼打撃コーチは「実際、オリンピックになったら(野手は)捕手を含めて12人。そういう(代走要員)選手が入ってこられるかもある」と選考の難しさを口にした。

 今大会の登録メンバーは28人だったが、五輪では24人に絞る必要がある。金子ヘッドが言うように野手を12人とした場合、ベンチスタートの野手は3人。うち1人が周東となると、終盤で使える代打が控え捕手を含めても2人。最大8試合を戦うため、投手を大幅に減らすのはリスクがある。試合中のアクシデントに備える必要もあり、用兵には制限がかかる。

 接戦が多かった今大会。周東に頼る部分が大きく、2次ラウンドの韓国戦を前に、金子ヘッドは「この大会は終盤、どうしても周東の名前が出てきちゃうけれど、そうじゃない試合にしないとダメ」と奮起を促していた。その後の韓国との2連戦は、その足がクローズアップされずに勝利。頼らない攻撃で宿敵を下したことは一つの収穫でもある。

 指揮官は「この大会を通じて、スペシャリストは必要なのではないかと考えるものにはなった」と、その存在の貴重さを改めて認めた。世界と戦う上で、重要な武器となることは分かった。8カ月後へ向け「しっかりとまたコーチと議論していきながら、決めていく」。周東の名は、議論の的となる。(デイリースポーツ・野畑圭司)

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