【野球】日本ハム王柏融の通訳は元虎戦士「横にいないのは風呂に入る時と寝る時くらい」

 日本ハムに新加入した王柏融外野手(25)の通訳を務める蕭一傑氏(33)が、第2の野球人生をスタートさせている。米アリゾナ1軍キャンプに帯同し、母国の英雄を全力サポート。阪神時代に経験したメディア対応の難しさを生かして、試行錯誤の日々を過ごす。

 通訳としての“プレイボール”は午前6時過ぎ。蕭一傑氏は自室のドアを開け、王柏融の部屋をノックする。球場入りのバスに乗り込み、朝食会場の食堂へ。その後は2人並んでグラウンドに向かい、全体練習、自主練習、ウエートトレーニング…。夕食を取り、宿舎に戻ったところで1日の業務が終了する。

 「横にいないのは風呂に入る時と寝る時くらい。四六時中です」

 王柏融が記者の質問に答える姿を見ていると、阪神時代の自身を思い出すという。「自分のことを話すタイプではないので、聞かれたら答えるんですけど。当時は、聞かれても答えたくないことがいっぱいあったんです。そういうタイプでした」。月日が過ぎ、新たな仕事は選手とメディアとの橋渡し役。「プレッシャーは感じますよ。しっかり訳さないといけないと」。それでも、表情は明るい。

 母国・台湾から高校時代に日本へと野球留学し、08年度ドラフト1位で阪神に入団。ソフトバンク、義大ライノズ(後の富邦ガーディアンズ)と渡り歩き、昨年11月に3度目の戦力外通告を受けた。

 「まだやりたいというのはなかったですね」。17年12月に結婚したAliceさん(27歳)と母国でスイーツ店を開業する夢もあったが、代理人から日本ハムが通訳を募集していることを伝えられ、面接試験を受験。6月に第1子となる男の子が誕生する予定も、大好きな日本で「やりがいがある」と第2の野球人生を歩むと決意し、単身赴任を始めた。

 楽しみなことがある。2月17日、阪神との練習試合(宜野座)で久々に虎の穴に“凱旋”するのだ。「みんなと会えるのはうれしいですね」。現在、広報を務める二神氏とは「たまに連絡を取ります」と親交が深いという。母校・奈良産業大の一学年先輩の桑原には「日本に帰ってくることが決まった時に連絡しました」と明かし、続けて「もう活躍していると思うんですけど、続けてほしいですね」とエールを送った。

 12日(日本時間13日)に米アリゾナ1次キャンプを打ち上げ、チームと共に2次キャンプ地・沖縄へ出発。「また日本に行ける喜びはあります。最高です」。プロ野球選手として果たせなかった夢を王柏融に託し、大好きな第2の故郷に帰る。(デイリースポーツ・中野雄太)

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