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【野球】ソフトバンク工藤監督が野球教室で「真剣勝負」する理由

 恐るべき55歳だ。たった2日間で120人以上を相手に、約400球を投げ込んだ。

 鉄腕の正体はソフトバンクの工藤公康監督である。

 キャンプイン前最後の週末となった26、27日に福岡と熊本の計3か所で小中学生を対象に野球教室を行った。初日は一昨年7月の豪雨で大きな被害を受けた福岡県朝倉市をまず訪れた。その後移動して16年4月の熊本地震で特に被害の大きかった熊本県西原村へ。こちらは3年連続での訪問となった。そして翌日は同県南部の八代市で開催。「熊本南部地域の被害も甚大でしたが、あまり被害状況が知られていない」との事実を知り、足を運んだのだった。

 工藤監督の野球教室で今や名物となっているのが「1打席対決」である。1ストライク勝負だが、通算224勝のかつての大投手と打席で対峙できるとあり野球教室に参加する子どもたちはみんな目を輝かせる。それを見守る親の方が世代的に興奮していることも珍しくない。

 ただ、決して「打たせてあげる」ピッチングではない。小学生は「こんなスピード見たことない」と目を丸くするし、現役時代の勝負球だったカーブだって投げる。往年の切れ味はそのままだ。特に硬式野球の子どもを相手にする時は硬式ボールを握るため、威力はぐんと増す。左手からボールを離す瞬間の「パチン」「ピシッ」という音が、かなり離れているところまで聞こえてくる。

 子どもたちも負けじと「もっと速い球でお願いします!」とおねだりすると、工藤監督は「勘弁してくれよ~」と苦笑いしながら、必死に腕を振る。当然、ほとんどの子は打てない。がっかりする子どももいる。

 だが、それでも「真剣勝負」をするのには、理由がある。工藤監督は野球教室の中で必ず伝えることがある。

「努力を続けることが大事。継続力。それはホークスの選手たちにも君たちと同じことを言っています。諦めずに続けていれば、人は必ず変わることが出来る。諦めることなく、自分の夢を持って、そこに向かって続けていってほしい。そして野球を楽しんでほしい。子どもたちの笑顔が大人の笑顔を作る。復興は少しずつ進んでいるかもしれないけど、心の傷は簡単には消えないから」。

 まもなくキャンプだ。シーズン中は観戦招待などで支援を継続する。そしてオフになればまた被災地に戻ってくることも約束した。「リーグ優勝と日本一の報告とともに」。その決意を胸に、指揮官はまた新しいシーズンに臨んでいく。(デイリースポーツ特約記者・田尻耕太郎)

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