【野球】ソフトバンク、あの背番号は空き番のまま「52」を背負う選手は…

 その背中は見当たらなかった。

 6日に行われたソフトバンクの新入団選手発表だ。ドラフト1位での入団は東洋大159キロ右腕の甲斐野央。3位には早稲田実業高で通算68発を放った野村大樹も名を連ねるなど、支配下7名と育成4名の計11名が新たなスタートラインに立った。

 新入団会見はプロとしての第一声もさることながら、背番号も注目点の1つである。甲斐野にはエース格の「20」が与えられた。野村は「見た瞬間に松井(秀喜)を連想したし、早実の先輩である王会長の本塁打数をイメージしました」という「55」を背負う。

 それ以上にタカ党の目を奪ったのは4位の板東湧梧(JR東日本)と6位の泉圭輔(金沢星稜大学)だったかもしれない。板東は、今季まで摂津が背負った「50」を継承した。12年に沢村賞を獲得するなど一時代を築いたかつてのエースの象徴を背にした板東は「しっかりやらないと」と早くも緊張気味で、会見の中で「入団」と言うべきところを「入社」と言ってしまいバツが悪そうな表情を浮かべていた。また、泉は元大リーガーでもある五十嵐の「53」を引き継いだ。

 ただ、あの番号は空白のままにされた。

 川崎宗則内野手がつけていた「52」である。

 ダイエー時代から主力として活躍し、史上最高級のムードメーカーとしてチームを長らく牽引した。昨年の開幕時にメジャーから電撃復帰してからもソフトバンクを明るく盛り上げて、抜群の存在感を放っていた。

 しかし、今年3月に「昨年の夏場以降からリハビリを続けてきましたが、同時に自律神経の病気にもなり、身体を動かすのを拒絶するようになってしまいました。このような状態で野球を続けるのは、今の自分には考えられません」と球団を通じて告白し、チームを退団した。

 ただしこれは引退ではなく“退団”だった。現在は体づくりを行っているとの情報もある。11月のトライアウト前には前阪神の西岡、前ソフトバンクの城所の練習パートナーを務めたようだ。

 ソフトバンクのフロント幹部は「彼のために空けていると断定はしません。ふさわしい選手がいれば継承も考えますが、特に長く活躍、貢献してくれた選手ですからファンや周りの方のイメージも強い。中途半端な状況で背負うと変に重圧になるかもしれない。背負う選手の登場も待つし、あるいは川崎選手がまた背負ってくれるかもしれないし」とコメントをした。

 再び元気にグラウンドで輝く川崎を見たい気持ちは当然ある。一方で次代のプロ野球を明るく照らすニュースターの誕生を期待したい気持ちもある。いずれにせよ、ソフトバンクの「52」を背負う選手は特別な存在なのだ。(デイリースポーツ特約記者・田尻耕太郎)

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