【サッカー】日本代表DF槙野智章 W杯が起爆剤となるか、国内サッカー人気に危機抱く

 サッカーW杯。98年フランス大会は22人。02年日韓共催大会19人。06年ドイツ大会17人。10年南アフリカ大会19人。14年ブラジル大会11人。そして18年ロシア大会8人…。回を追うごとに、減っていく数字。これは、W杯出場メンバー中のJリーグ所属選手、つまり国内組の人数だ。前回大会で初めて過半数を割った。そして今大会でその数字は初めて1ケタになった。

 逆に考えればレベルの高い海外でプレーする選手が増えたということになる。それは、日本のサッカーのレベルがそれだけ上がっている指標にもなり、歓迎すべき数字だ。その一方で、国内組の減少が及ぼす影響はどうだろう。数少ない国内組の中で、レギュラー候補のDF槙野智章(31)=浦和=は渡航前にこう話していた。

 「W杯という大会をムダにしないことですね。なぜなら、国内組、JリーガーがこのW杯で活躍することで、W杯後のJリーグへの観客動員数、注目も大きく変わると思いますから」。

 30代になって初のW杯代表入りを果たした。その喜びの会見の席。さまざまな心境を語った。その中には大会後のJリーグへの思いまで含まれていた。

 Jリーグ再開後はスペイン代表でバルセロナを退団したMFアンドレス・イニエスタが神戸でプレーする。間違いなくJリーグに国内外の目が注がれるきっかけになる。それでも、「イニエスタ選手がJリーグに来て注目されることは、Jリーガーとして喜ばしいことではあるんですが…。やっぱり自国でプレーする自分たちが、しっかりと外に向けて誇らしいリーグだと発信できるようなリーグにするためにも、W杯で僕ら、国内組が、Jリーガーが活躍することが一番の要因だと思っています」と熱く訴えた。

 Jリーグの観客動員自体は11年を底に上昇傾向にある。それでも槙野はJリーグを含む、サッカー人気に対して、危機感を抱く。「たまたま見た番組で、東京で聞くW杯への関心度というのを拝見しまして。日本代表の監督は誰なのか、日本代表で顔と名前が一致する選手は誰なのか、W杯の開催地はどこか、という質問に対して、答えられる人数がかなり低いというのを目にしました」と明かす。

 サッカーに興味のない層を引き込む。新たなファン層を発掘し、新たに少年少女がサッカーを始める。W杯はそんな起爆剤になりうる大会だ。日本代表の訴える姿がその原動力となる。そして活躍した選手が国内組なら、身近に見に行ける選手として、さらに親しみが湧くことになるだろう。

 「どうやったらサッカーを見に来てもらって、そこで過ごしてもらえるかを考えたときに、まず僕たち自身が高いパフォーマンスをして、サッカーは楽しいとか、サッカーの素晴らしさを伝えることだと思う。そういう意味で僕たちの力にかかっていると思います」

 日本代表。同時にJリーグ代表。日本でサッカーを盛り上げたい。強い意志がある。「W杯という大会をムダにしない」-。まずは世界最高の舞台。1分1秒の真剣勝負に、思いを込める。(デイリースポーツ・鈴木創太)

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