【野球】ミスターライオンズ・栗山が神戸で愛されるわけ

第8回栗山巧杯少年野球大会の開会式で行進する子どもたち=あじさいスタジアム北神戸
3枚

 オリックスの準本拠地・神戸ほっともっとフィールドの三塁側スタンドは、熱く燃えていた。西武・栗山巧外野手を応援しようとユニホーム姿の少年、少女たちが必死に声援を送った。

 5月20日のオリックス-西武戦。栗山の出身地である神戸市西区の少年団野球部チームを中心に、約500人がユニホーム姿で応援にかけつけた。

 栗山が打席に入ると「打て、打て、栗山」と大声援。オリックス戦で無安打に終わった栗山はその日、球場近くの実家に立ち寄った。父親に「1本ヒットを打っていれば盛り上がったのに」とポツリともらしたという。少年時代、オリックスのイチロー(マリナーズ)にあこがれ、プロ野球選手にまで成長した。子どもたちの姿を自らの少年時代にダブらせていた。

 2001年度ドラフト4位で西武に入団。3年目のシーズン終盤に1軍昇格を果たし、プロ初安打も放った。翌年から順調に成績を伸ばし、08年の優勝はレギュラーとして貢献。最多安打のタイトルも獲得した。その後は西武の顔ともいえる存在になった。東日本大震災や小児がん患者への寄付など社会貢献を続ける中で、故郷のことも忘れない。

 プロに入ってから毎オフ、地元の子どもたちの励みになるよう野球教室を開催してきた。08年も優勝旅行を1日早めて帰国し、神戸で子どもたちに野球を教えた。11年からは栗山巧杯少年野球大会を開催。毎年12月に行われる決勝戦と閉会式には必ず帰神してプレゼンターを務め、午後からは野球教室を開催。昨年からは障害者にも野球の楽しさを味わってもらおうと、“リアル野球盤”も開催している。

 今年で8回目となる栗山巧杯少年野球大会は、5月26日にあじさいスタジアム北神戸で開会式が行われた。約100チームが参加し、各地で熱戦を繰り広げ12月に決勝戦が行われる。

 ミスターライオンズでありながら、オリックスのお膝元でもある神戸で子どもたちから絶大な人気を誇る。野球大会開催だけではない。年末年始は出身小学校の校庭でティー打撃を行うのが恒例行事となっている。子どもたちが練習するその横でプロ野球選手が必死にバットを振る。子どもたちがスター選手の姿にあこがれを抱くのも当然だ。

 昨年まで積み上げてきた安打は1644本。西武球団史上初の生え抜き通算2000安打まで356安打となって今季に臨んだ。昨年、10年ぶりに100安打に到達しなかった。今季も開幕からスタメンに名を連ねていなかったが、まだまだ若手に負けるわけにはいかない。

 2000安打到達に大事な1年となる今季、年明けに栗山は言った。「ヒットの数を言われるかもしれませんが、今年は打点にこだわっていこうと思うんです」-。ミスターライオンズは、チームの勝利に直結する打点に重きを置く。6月2日現在、26安打で21打点を挙げている。パ・リーグ首位を走る西武にその勝負強さは欠かせない。神戸の子どもたちもそんな先輩の姿を応援している。(デイリースポーツ・岩本 隆)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

オピニオンD最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス