【野球】究極の目標を掲げた鉄腕左腕

 前人未到の領域に挑む戦いが始まった。阪神・高橋聡文投手が、防御率0・00という究極の数字を追い求める。

 シーズン10イニング以上を投げたリリーフ投手で、防御率ゼロを成し遂げたのは、1957年の上土井勝利(広島)ら過去5人。ただ、2桁試合に登板しての達成者はいない。今年5月に35歳となる17年目のベテラン左腕が金字塔を打ち立てる。

 「ゼロを並べてみたいんですよね」。沖縄・宜野座キャンプで順調に調整を進めている高橋聡が、おもむろに唯一無二の目標を口にした。「去年のセ・リーグでは中日と広島以外は防御率ゼロに抑えましたし、どこまでできるのかチャレンジしたいんですよ」。今は、汚れなき数字を守り抜くための下地固めにいそしんでいる。

 移籍2年目の昨季は61試合に登板して、6勝0敗1セーブ、防御率1・70。オリックスを除く10球団相手に登板し、中日、広島、ソフトバンクを除く7球団に対して防御率0・00をマークした。

 高橋聡がゼロを死守するためのカギに挙げたのは古巣の中日だ。だが、要警戒印を付けたのは、ビシエドでも、平田でも、大島でもない。

 「京田です。彼には嫌な印象しかないんですよね」

 昨年の対戦成績は3打数1安打。全投球数はわずか9球。打率こそ・333だが、許した安打は1本で、しかも0打点。そこまで忌み嫌う理由がどこにあるのだろうか。

 4度の対戦を振り返ってみる。初対戦は昨年4月19日のナゴヤドーム。同点の九回裏2死2、3塁。高橋聡は京田を三ゴロに打ち取ったが、味方の失策でサヨナラ負け。2度目の対戦は同30日の甲子園。1点リードの九回表1死走者なしで見逃し三振。5月17日の甲子園は同点の8回表1死一塁から初球を犠打。最後は6月27日の浜松で、1点ビハインドの八回裏1死二塁から二塁内野安打だった。

 「最近の中日にはいなかった足の速い左バッター。すごい打球を打たれたイメージはないんですけど、いやらしいバッターだなという印象で…」

 味方の失策とはいえ、サヨナラ負けで始まった京田との対戦。そして、昨年最後の対戦で許した初安打が、1点を奪われるキッカケになった。最初と最後のイメージが、必要以上に高橋聡の脳裏に焼き付いているのだろう。

 抑えたことより、打たれたことの方をよく覚えている-と多くの投手から聞く。打者に聞いても、打ったことより、抑えられたことの方を覚えているという声の方が多い。

 「左対左ですし、京田の場面で起用されることも多いと思うので、今年はバッチリ抑えたいですね」

 昨年、1チームで5人が60試合に登板するプロ野球史上初の記録を打ち立てた阪神リリーフ陣の貴重な一角。京田斬りで、究極の目標に突き進む。(デイリースポーツ・鈴木健一)

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