【レース】今年の激推しジョッキーは藤岡佑介!その理由は…

 今年、注目している(期待する)ジョッキーは-。年度が替われば、いつもこう聞かれる。ここ数年は和田を推した。昨年の和田はキャリアハイの96勝をマーク。「な?言うたやろ?」とドヤ顔だ。今年の“推しジョッキー”は藤岡佑介騎手(31)=栗東・フリー。その選択に迷うことはなかった。

 昨年、24レース行われた平地G1。6勝のM・デムーロ、4勝のルメールを筆頭に外国人騎手の勝ち鞍は13勝。過半数を占めた。日本人騎手は40代から武豊、横山典、幸。20代、30代からは松山、川田、石橋脩、池添の5人だけ。上の世代を脅かさなければ底上げはできない。20代、30代にはもっと頑張ってほしい。

 藤岡佑は31歳。デビュー15年目の今年は1月に8勝を挙げてアピールに成功した。「前年の成績がリセットされるし、年明けにいいスタートを切れるとリズムに乗れる。いい馬がそろっていたおかげでもあります」と年明けの競馬を振り返った。

 立ち止まることはできない。周りの評価は変化し、ライバルも努力する。自らが研究や努力をいくら重ねても完成形や正解はない。「ずっと一緒ではいけない。常に何か変化を求めている」。それがプロの宿命だ。

 前述したように、日本人騎手にとって不遇の時代を迎えている。有力馬への騎乗依頼はM・デムーロやルメールへ。短期免許を取得した外国人ジョッキーたちも次から次に来日する。「昨年、1番人気馬の騎乗が少なかった。自分が1番人気に支持されないといけない馬に乗っていても、クリストフかミルコが1番人気。情けないと思う。馬の力通りに評価されていない」。険しい表情で現状を分析する。

 藤岡佑のキャリアハイは75勝を挙げた08年だ。「今乗れば100は勝てた。後押ししてくれる人たちがいい馬を依頼してくれたから」。そこをピークに数字を落とすと、13年には変化を求めて単身でフランスへと渡り、7カ月間の滞在で武者修行。違った空気に触れた。

 その翌年以降、年間40勝に到達していないが、経験を重ねたことにより、確かな手応えをつかんでいる。「勝つにしても、負けるにしても、今の方が納得のいく騎乗ができている」。理想とする騎乗を求めるため、最もスキルアップした点を挙げる。「スタートをうまく出せるようになったのが大きい。試行錯誤の末、つかめてきた」。競馬で最も重要と言っていいかもしれない。逃げ、差しに関わらず、レースの組み立てはスタートが大きく左右するからだ。

 記者が藤岡佑を推す理由は昨年の成績にある。フランスに滞在した13年(19勝)を例外とすれば、年間36勝はデビューした04年(35勝)に次ぐ自身ワーストだった。多い少ないではない。注目したいのはその中身。重賞騎乗数は最近では最も多い34回を数え、2勝、2着2回と光を見た気がした。

 G1騎乗数の11回は過去最高タイだった。特筆すべきは、クリンチャーの特徴を最大限に引き出した17年菊花賞だろう。10番人気だったが、いったんは先頭に立つ積極的なレース運び。馬券ファンがワクワクするような内容に“藤岡佑らしさ”が見て取れた。「外国人騎手が勝ち負けにならないこともあるから、その間隙(かんげき)を突いて。少しの隙を突かないとアピールにならない。“次は”がない状況なので」とうなずく。

 JRA・G1は勝っていない。「G1は注目度が高いし、ゲートインするだけでも大変。人気がなくても見せ場をつくりたいと思っています。“何かやりそうだ”というのがないとチャンスが遠のく。もちろんG1を勝ちたい」。これまでに2着が6度。悲願がかなえば、自信になることだろう。今まで見えなかった景色を目にしてほしい。

 年始に好スタートを切り、周りから「好調やな」と声を掛けられることも多いという。「これでいいとは思いたくない。今の状況が当たり前にならないと」。そう言って強く口元を結んだ。年間40勝に達しなかったこの6年。今年は60勝、いやそれ以上の成績を残すだろう。彼にとってターニングポイントとなる1年になる、と予言しておく。(デイリースポーツ・井上達也)

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