【スポーツ】「4横綱時代」は1年持たず…残る3横綱は踏ん張れるか

 大相撲は元横綱日馬富士の暴行問題の混乱が年明けに一応の収束を見せた。暴力事件を繰り返す角界。相撲人気を食い止められるかが初場所(1月14日初日、両国国技館)にかかる。幸か不幸か、土俵上への関心が二の次になっている感があるが、2人の横綱、稀勢の里(田子ノ浦)、鶴竜(井筒)の進退崖っぷちは“平時”なら、一大事だろう。

 昨年11月の九州場所(福岡国際センター)でともに4場所連続の休場となってしまった。稀勢の里は「腰部挫傷、左足前距腓靱帯(じんたい)損傷により約1カ月間の安静加療を要する」との診断書を提出し、10日目から途中休場した。

 9日目に、東前頭5枚目の宝富士(伊勢ケ浜)に敗れて今場所5つ目、3日連続で金星を献上し、4勝5敗と黒星を先行した。

 昨年春場所で重症を負った左上腕部、左大胸筋の回復に苦しんできた。秋場所、自身初の全休し、万全の態勢で臨んだ。九州場所6日目の栃煌山(春日野)戦では伝家の宝刀、左おっつけをさく裂。患部の復活を感じさせた。しかし、長くは持たなかった。肉体は悲鳴を上げていた。

 患部をかばった影響で違う箇所を次々と負傷するのは30歳を超えるアスリートに多く見られる悪循環。昨年春場所まで入門以来、休場がわずか1日という驚異的な頑丈さを誇っていた稀勢の里も、逃れられなかった。

 初場所番付発表の翌日、昨年12月27日に本格的な稽古再開。弟弟子の大関高安と18番取り、12勝6敗と気を吐いた。それでも患部の状態に関し「いろいろ、だましだましやるしかない」と、手探り状態の心境を明かした。

 その後は再起への並々ならぬ覚悟で臨んできた。昨年12月末まで連日、高安と30番の稽古。1月2日の稽古始めも31番。しかも稽古後には、高安に胸を借りぶつかり稽古。何度も土俵に転がされ、泥まみれになった。

 横綱昇進後はなかなかできなかった猛稽古。「また思い出しながら」。若かりし頃、先代師匠の故鳴戸親方(元横綱隆の里)から厳しく指導された日々が頭にあった。がむしゃらさを取り戻し、初心に戻ることがテーマ。「いい経験。いい修行。何年かあと、ケガが良かったと思えるように。優勝へ生かしたい」と力を込めた。

 鶴竜は慢性的な右足首に加え、腰痛を発症し九州場所を全休。昨年は6場所中5場所を休場した。出場した場所で再び休場に追い込まれるようなら、引退も現実味を帯びる。

 元横綱日馬富士が暴行問題で引責引退し、豪華絢爛(けんらん)の4横綱時代は1年持たず、結局、15日間、4横綱がそろい踏むことは1度もなかった。残る3横綱は踏ん張れるか-。今年、2横綱、1横綱時代へと一気に崩壊する危険は十分にある。(デイリースポーツ・荒木 司)

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