【芸能】「スター誕生!」の先輩「全日本歌謡選手権」…山口洋子さんが五木ひろし再生

 日本テレビ系の「24時間テレビ」で放送されたKAT-TUNの亀梨和也(31)主演のスペシャルドラマ「時代をつくった男 阿久悠物語」は、25・6%(関東地区、ビデオリサーチ調べ)という高視聴率を記録した。番組では、阿久さんが深く関わった伝説のオーディション番組「スター誕生!」にスポットが当てられたが、日テレ系には同時期にもうひとつの歌謡オーディション番組があったことを若い音楽ファンの方に紹介したい。

 その番組は日テレ系の読売テレビが制作した「全日本歌謡選手権」で、主に関西で収録が行われていた。放送開始は1970(昭和45)年の1月で71年10月開始の「スタ誕」の“先輩”にあたる。プロ・アマ問わずの挑戦が可能で、10週勝ち抜くと「グランドチャンピオン」の称号がもらえ、レコード会社との契約権などが手にできた。1週の勝ち抜きには、100点満点中70点以上が必要だったのを覚えている。

 「スタ誕」はレコード会社や芸能事務所が集結した「決戦大会」が目玉だった。ガチで歌手の卵を会場でスカウトするのだから、見ている方にも緊張感と感動があった。「全日本歌謡選手権」も1週でも合格しなかったら終わりの緊張感があった。亀梨が出演したドラマでも、森昌子(58)の出現が番組成功へのキッカケになったと描かれていたが、「全日本歌謡選手権」はこの人、歌謡界の大御所・五木ひろし(69)なくしては語れないだろう。

 さまざまなメディアで「五木ひろし」誕生のいきさつは明らかになっているが、簡単におさらいをすると、五木は65年に「松山まさる」の芸名でデビューしたが、プロ歌手としてはヒット曲に恵まれず、「一条英一」、さらに「三谷謙」と改名し、歌手生命をかけて70年に「全日本歌謡選手権」に出場。三谷謙は10週勝ち抜き、再デビューの権利を獲得した。当時から歌唱力に定評はあったが、一人の作詞家との出会いが大きく運命を変えた。

 その作詞家とは、音楽ファンの方ならご存じの山口洋子さんだ。山口さんは2014年に亡くなられたが、三谷謙を「五木ひろし」に仕立て挙げたプロデューサーであり、もちろん、五木の大ヒット曲「よこはま・たそがれ」も作詞した。作曲は今年7月に亡くなった平尾昌晃さんだ。

 亀梨のドラマでは、阿久さんと作曲家の都倉俊一さん(69)とのコンビがミーとケイの「ピンク・レディー」を時代の寵児(ちょうじ)に育て挙げた姿が描かれていた。この山口さんと平尾さんも名コンビで、五木と並ぶ“再生工場”の傑作に中条きよし(71)も挙げられる。歌手として泣かず飛ばずだった中条を「全日本歌謡選手権」で見いだし、74年に2人が作詞・作曲した「うそ」で一躍スターダムに押し上げた。

 阿久×都倉の「ピンク・レディー」の派手さとは異なるが、山口×平尾のコンビも日本の歌謡界に貢献した物は限りなく大きい。今年亡くなられた平尾さんを追悼する意味でも、この2人と「全日本歌謡選手権」にまつわる音楽ドラマをぜひ見たいと思っている。(デイリースポーツ・木村浩治)

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