【野球】苦い経験に責任が加わった最強の5番打者

 準決勝進出を決めた野球日本代表・侍ジャパンで5番打者を務める中田翔内野手(27)=日本ハム=は4年前の光景を、脳裏に描いていた。前回大会の準決勝プエルトリコ戦は、野手最年少だったが「7番・左翼」で出場。3打数無安打、1三振の結果だった。ボール球を打っての凡退。敗退後に「また日の丸を付けたい」と語っていた。

 「今だから言えるけど。右も左も分からない中で、みんな喜んでいるから、喜ばないと…みたいな。自分がテンパりすぎて、勝敗にまで頭がいかなかった」。当時23歳。日本代表の重圧は想像を絶した。あれから4年。「いまは違う」と言う。

 年齢的にも中堅。頼れる先輩、頼もしい後輩がいる。命運を分けた13日のオランダ戦で、タイブレークに入った延長十一回。鈴木(広島)が打席に入る前、歩み寄ってきた。「僕、送るので後はお願いします」。武者震いした。とっさに出た言葉が「ヨッシャ、任せとけよ」-だった。

 「正直、誠也だよ。長打の確率も高い。そんな選手が送ってくれた中で、回してくれる有り難さ。いろんな人の思いを背負った打席だったと思う」。27歳になった。あの苦い経験に、責任が加わっている。成長した姿を見せる雪辱の舞台。世界一への扉は最強の5番が開く。(デイリースポーツ・田中政行)

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