【スポーツ】安美錦は体も口もキレキレ 幕内復帰へ「白星が薬」

 大相撲春場所(26日千秋楽、エディオンアリーナ大阪)は新横綱稀勢の里(30)=田子ノ浦=で空前の盛り上がりを見せる中、大ベテラン業師が健在ぶりを見せている。西十両12枚目の安美錦(38)=伊勢ケ浜=が土俵でトークでキレキレだ。

 2日目は190センチの力真(立浪)を上手出し投げで下し、2連勝。突き放され、後退したが、ヒラリと左でおっつけながら回り込み、鮮やかに投げた。

 昨年5月場所で左アキレス腱を断裂。幕内を陥落し、十両は4場所目になる。満身創痍(そうい)で稽古も納得いくまでこなせない。それでも「自然と体が動いた。こんな感覚もう何年もない」と、徐々に稽古量も増やして復調してきた。

 「白星が薬。嫁さんも親もヒヤヒヤしている。勝てばみんなほっとする。どんどんみんなを処方していかないと。白星は優しさでできている。みんなにどんどん薬をまいていこう」。支度部屋では味のある名言を残した。

 3日目は北磻磨(山響)をはたき込み。3連勝で通算出場記録は1600回を自ら祝った。支度部屋では「すごいの?何位?誰がいるの?」と逆質問。現在9位で、8位の元関脇富士桜は1613回。7位の元関脇青葉城まで1630回と視界。「青葉城抜くの?すごいね。休まなかった人だ。仙台の人だね。よく知ってるって?だって青葉城だもん」と笑わせた。5位の高見山が1654回で今年中の達成も可能。「へー、ジェシーまでいっちゃうんだ」と、細い目をさらに細めた。

 4日目の富士東(玉ノ井)戦は全盛時をほうふつ。右張り、右上手から出し投げで崩すと回り込む相手を正面にとらえ、突き放し。最後は出足良く、押し勝った。自身の前の一番では弟弟子の照強が一方的に押し出される惨敗。「しょっぱい相撲を取ったから。前に出ないとだめだと、いい教訓になったよ」と、16歳下の小兵に喝を入れた。

 角界20年。ひょうひょうとし、相手の虚を突く業師には相撲の極意が詰まっている。もう一度、幕内復帰し、新横綱稀勢の里との一番がぜひ見てみたい。(デイリースポーツ荒木 司)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

オピニオンD最新ニュース

もっとみる

    ランキング

    主要ニュース

    リアルタイムランキング

    写真

    話題の写真ランキング

    注目トピックス