【ライフ】できた!の感動を届けたい-熱血障がい児ママの挑戦

 「何事もやってみないと分からない」-。そんなポジティブ思考で身体、発達障がいを抱える子どもたち向けに体験型療育ワークを届け、笑顔を広げようと奮闘する女性がいる。療育セラピストにして「GOKAN療育プロプラム」考案者の畠山織恵さん、36歳。関西を中心に活動しており、ほかにも女性のファッションカウンセリングなどを請け負ってきたが、今年から療育事業への専念を決意。実は自身も、脳性まひの障がいを抱える17歳の長男を育てる母親である。

 「とにかくやってみようと。可能性が大事なんです。どうせ無理だって、決めてはいけない。もし、できなくても違う考え方ができるようになるし、自分を知ることにつながるんです!」。身振り手振りを交えながらの言葉は、とにかく熱い。「しゃべるの早いですか?大丈夫ですか?」とこちらを心配してもらえたのも束の間、再び自身の熱い思いを語ってくれた。身体、発達障害を持つ子どもたちのために独自開発した療育プログラムを、放課後等デイサービスや発達支援センターなどに提供するという活動。その言葉にエネルギーとともに説得力を感じさせるのは、もちろん自身の確かな経験があるからだ。

 17歳長男と7歳長女の2児の母である畠山さん。長男は脳性まひの障がいを抱えており、車いすでの生活を送っている。自身が底抜けに明るい性格なのと、もともと乳幼児の能力開発教育の仕事に携わってきたこともあり、息子には小さなころから、馬に乗ってみることや、1人で自転車をこいでみることなど、さまざまな障害児向けの体験をさせてみたという。そこで気付いたことは、自分で何かをなし遂げるということの大切さだった。「小さな一歩でもいい。それが自信につながるんです」。育児経験をふまえ、2014年に障がい児専門の出張療育事業「ベビママケアprogram」を立ち上げた。

 「最初は大変でした」と振り返る通り、役所などで提供してもらった保育所や福祉施設等の一覧に片っぱしから電話をかけるなど悪戦苦闘だったという。ただ、当時に放課後等デイサービスの事業が全国的に本格化していったことも重なり、自身の経験に裏付けされたプログラムは、口コミやSNSなどを通して着実に広まっていく。現在では大阪、神戸の放課後等デイサービスや発達支援センター、保育所など約10施設で活動を展開。月に1度、1時間ほどのワークを各所で自ら実践し、それを施設スタッフらにも1カ月間、継続してもらい、子どもたちの成長へとつなげている。

 キーワードは「できない」を「できた!」、「分からない」を「分かる!」「知らない」を「知ってる!」に。今春からは、普段の生活の中で五感を使って色々な体験ができるようなプログラム改定に併せ、名称も「GOKAN療育プログラム」に変更。出張ワークとともに各施設スタッフの育成にも尽力する。

 「障がい児とその親として、こんな生き方もあるんだという、1つのモデルになれれば。ノウハウの1つとして、もっともっと、このワークを広げていきたいです」と畠山さん。イキイキとした表情と活動力で、子どもたちに笑顔を広げていくに違いない。(デイリースポーツ・石川 真之)

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