吉田沙保里の“後継者”向田がうれし涙「気持ちで戦いました」 逆転での金メダル
「東京五輪・レスリング女子フリースタイル53キロ級・決勝」(5日、幕張メッセAホール)
吉田沙保里の“後継者”向田真優(24)=ジェイテクト=がホウセイ玉(中国)を破り、金メダルを獲得した。
向田はうれし涙を流しながら、「最後は神頼みする気持ちで。最後まで気持ちだけは切らさず、気持ちで戦いました。沙保里さんは何回も優勝していて比べものにならないけど、金メダルをと思ってやって来ました。(婚約者の志土地翔大氏は)自分より苦しいことたくさんあったと思うけど励ましてくれて」と話した。
過去4戦全勝という相手に、第1ピリオド開始早々、いきなり4点を失うと、守りの堅い相手を崩せないまま折り返した。第2ピリオドで2ポイントを返すと、さらにタックルから相手のバックを取って同点に。終了間際に1ポイントを奪って逆転勝ちした。
5歳で空手からレスリングに転向。小学生時代から頭角を現し中学はJOCエリートアカデミーに入校。私立安部高から至学館大に進み、2016年、18年と世界選手権を制覇した。2019年世界選手権で銀メダルを獲得し五輪切符を得た。
五輪3連覇を果たした吉田沙保里さんと同じ三重県出身。同じ階級でポスト吉田として注目されてきた。吉田と同じくタックルを得意とする攻撃的スタイル。「53キロ級で金メダルを取りたい」と、後継者として覚悟を持って臨んだ。
愛の力で重圧も乗り越えた。専属コーチを務める志土地翔大氏と2019年10月に婚約。当時、向田は至学館大4年で志土地氏は同大のコーチを務めていた。大学を卒業後は2人で拠点を東京に移し、二人三脚で練習に励んできた。
コロナ禍の“ステイホーム”時間、自宅でも2人でレスリング漬け。練習パートナーも務めてもらうなど、支え続けてくれた最愛の夫に最高の恩返しを果たした。
◆向田真優(むかいだ・まゆ)1997年6月22日、三重県四日市市出身。東京都北区立稲村中から私立安部学院高、至学館大と進学。世界選手権で金メダルを2回獲得。