川井友香子が金!日本史上初の姉妹金メダリスト誕生「最高な1日になりました」
「東京五輪・レスリング女子フリースタイル62キロ級・決勝」(4日、幕張メッセAホール)
女子62キロ級は初出場の川井友香子(23)=ジャパンビバレッジ=が決勝で2019年世界選手権優勝のティニベコワ(キルギス)を4-3で破り、今大会の日本勢で初の金メダルを獲得した。姉の川井梨紗子=ジャパンビバレッジ=が16年リオデジャネイロ五輪63キロ級女王に輝いており、五輪の夏季競技で日本勢初の姉妹金メダリストとなった。57キロ級は川井梨が2試合を勝って迎えた準決勝でリオ五輪53キロ級女王のマルーリス(米国)を2-1で下し、5日の決勝に進んだ。
運命のカウントダウンが進む。1ポイント差で残り4秒。19年世界女王の最後の猛攻をしのぎ切ると、歓喜の瞬間が訪れた。友香子は両腕を掲げ、姉梨紗子が見守るスタンドへ。ディスタンスはあっても、心はつながっていた。
「今は本当に言葉にできないぐらいうれしくて。今までの中で1番最高な1日になりました」-。
姉が16年リオ五輪で金メダルを獲るまで、友香子にとって、五輪金メダルは夢のまた夢だった。同年4月には左肩を手術し、レスリングができない状態だった。「実際は無理だろうなと思っていた」。ただ、観客席から見守ったリオ五輪。表彰台の頂上で、最高に輝くメダルを手にする姉を見て、決めた。「いつかは私も追い付きたい」-。
18年に初めて出た世界選手権で銀メダルを獲得し、五輪の舞台をより現実として捉えられるようになった。成長は止まらない。姉との切磋琢磨(せっさたくま)で技術を磨き、着実に結果を残し続けてつかんだTOKYOの舞台。妹の快進撃を見守った梨紗子は言った。「私がビックリした。こんなに強いのか、と。毎日一緒で近くにいたから分からなかった。もう言うことがない」
ずっと“梨紗子の妹”だった23歳が、川井友香子として世界の頂点に立った。リオの時、姉から「あんないい景色ないよ。友香子にも見てほしい」と言われ、恋い焦がれていた表彰台の一番上。「どんな景色だろうって思ってきたんですけど、本当にいい景色でした」と夢見心地で語った。
この日、決勝進出を決めた姉はスタンドから「ちゃんと見てるよ!大丈夫!」と懸命に声援を送った。どこにいるかは、すぐに分かった。背中を押してもらった。5日には姉が2連覇に挑む。「今までたくさん支えてもらった分、しっかりサポートして、梨紗子が金メダルを獲れるように引き続き頑張りたい」と友香子。強い絆で結ばれた姉妹の物語が、黄金色に彩られる。