【プロの視点】村上は最後に最高の演技 女子が強くなった第一歩
「東京五輪・体操女子種目別床運動・決勝」(2日、有明体操競技場)
女子種目別決勝の床運動で2017年世界選手権覇者の村上茉愛(24)=日体ク=が14・166点でメルニコワ(ROC=ロシアオリンピック委員会)と並び、銅メダルを獲得した。女子の日本勢は1964年東京五輪で団体総合銅メダル以来57年ぶりの表彰台となり、個人種目では初の快挙。予選は8位だったが、一発勝負の決勝で最高の演技をみせた。
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村上はミスのない演技で良さが全部出ていた。自国開催で予選は緊張して点数が伸びていなかった。そこから力が抜けて、だんだんのびのびとできていた。最後の最後に最高の演技だった。
力が入ると技の大きさ、高さがなくなってしまうが、思い切ってやっているから高さが出ていた。それによって着地も止めやすくなるし、減点されるようなところも少なかった。床運動は失敗するという感覚がないと思うが、いかに着地を止められるかが全てだった。
女子ではベテランの年齢で、あれだけ難しい技をできるのは技術があって基礎がしっかりしているから。脚力があるのはもちろんだが、技に入る前のロンダートやバク転が大事で、そこから他の選手と比べてレベル違いに正しい姿勢だから大技をできる。若い選手はパワーでやっているが、村上は技術でやっているから失敗も少ないし、着地で大きく跳んでいったり、ラインオーバーしたりということもない。
女子の競技人口はまだ少ない。メダルを取ったのを見て、小さい子に体操をやりたいと思ってほしい。一つの壁をぶち破り、日本の女子が強くなっていく第一歩になったと思う。本当にお疲れさまと言いたい。(北京、ロンドン五輪代表・鶴見虹子)