村上茉愛のショートヘア、母がカット 自宅で美容室開業 娘の競技生活支えた
「東京五輪・体操女子種目別床運動・決勝」(2日、有明体操競技場)
女子種目別決勝の床運動で2017年世界選手権覇者の村上茉愛(24)=日体ク=が14・166点でメルニコワ(ROC=ロシアオリンピック委員会)と並び、銅メダルを獲得した。女子の日本勢は1964年東京五輪で団体総合銅メダル以来57年ぶりの表彰台となり、個人種目では初の快挙。予選は8位だったが、一発勝負の決勝で最高の演技をみせた。
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村上のトレードマークであるショートヘア。カットを手掛けるのは、5人の子を育て、娘の競技生活を支えるため自宅で美容室を開業する母英子さん(52)だ。自身も中学時代、体操に熱中したものの、五輪の夢はかなわなかった。
村上は兄や姉を追うように体操教室へ通うようになった。英子さんは子どもたちの夢をサポートしようと通信制で美容師の資格を取得し「苦労は子どもの寝顔を見て忘れた」と笑う。子育ての方針は自立。「親に頼らず自分で考え決断し、人生を切り開いてほしい」。娘が通う体操教室は、ほとんど見に行かなかった。
村上のショートヘアは高校卒業時に英子さんがカットし、誕生した。「接する時間は少なかったけど、美容師は言葉がいらない。髪の毛に直接触れて、パワーを注入できるし応援も伝わる」と英子さん。娘は母への思いを込めて舞った。「いつもありがとう。ずっと頑張ってくれたから最後まで体操ができた」-。躍動的な演技ともに、黒髪も弾んだ。