【福西崇史の目】総合力がアップした理想的な1次リーグ
「東京五輪・サッカー男子・1次リーグ、日本4-0フランス」(28日、日産スタジアム)
日本はフランスを4-0で下し、日本の五輪初の1次リーグ3連勝でA組を1位突破し、準々決勝に進出した。前半27分にMF久保建英(20)=レアル・マドリード=が日本五輪史上初の3戦連発となるゴールを挙げると、同34分にはDF酒井宏樹(31)=浦和=が決めた。後半25分にはMF三好康児(24)=アントワープ、同46分はFW前田大然(23)=横浜M=のゴールで突き放した。31日にB組2位のニュージーランドと4強進出を懸けて対戦する。
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前後半に2得点ずつと、最高の3連勝になった。初出場の冨安も使えるめどが立ち、守備面での不安要素も消すことができた。選手を入れ替える余裕もあったし、理想的に1次リーグを勝ち抜くことができた。
何より3試合を通じてチームの総合力がアップした。この日は1トップに上田が入ったが、攻撃力が格段に上がった。1点目にも2点目に絡み、やや強引にも見えるシュートが久保建や酒井のゴールにつながった。
守備面を考えると体を張る林が入ると機能するし、この日の4点目のように相手守備に脅威を与えられるのは前田。FWはオーバーエージ枠を使わなかったが、3人がそれぞれの良さを出せている。
2列目も堂安、久保建に加えて、この日左MFで先発した旗手、途中出場の三好や相馬と、どんな組み合わせになっても攻撃の質が落ちない。そして試合を重ねるごとに、ダイレクトパスが4本、5本とつながるシーンが増えた。これこそが期待していたチームの成長だ。
この先は一発勝負。とにかくこの2試合のように先制点を取りたい。安定した守備から、いかに攻撃につなげられるか。メダルを狙う力はある。この勢いを継続してほしい。
(02年日韓、06年ドイツW杯日本代表=本紙評論家・福西崇史)