新生体操ニッポン 1年延期追い風に「確実に3位」から急成長 内村不在、示した未来

銀メダルを手に記念写真に納まる(左から)橋本大輝、萱和磨、北園丈琉、谷川航=有明体操競技場(撮影・高部洋祐)
橋本大輝(右)が最後の演技を終え、抱き合う日本チーム=有明体操競技場(撮影・高部洋祐)
銀メダルとなり、涙する谷川航=有明体操競技場(撮影・高部洋祐)
3枚

 「東京五輪・体操男子団体・決勝」(26日、有明体操競技場)

 男子団体総合が行われ、全員が初出場で挑んだ日本(橋本、萱、谷川、北園)は262・397点で2位となり、16年リオデジャネイロ五輪に続く2連覇はならなかった。4種目目終了時点ではトップと3点以上の差をつけられて3位だったが、平行棒、鉄棒で猛追。金メダルには0・103点届かなかったが、長年体操ニッポンをけん引してきた内村航平が不在となった中で、平均年齢21・5歳の若き日本が大健闘をみせた。ロシア五輪委員会(ROC)が262・500点で金メダルを獲得。中国が3位だった。

 力は尽くした。全員が五輪初出場の若き体操ザムライたちは全力を出し切り、そして敗れた。全員の目に涙が浮かぶ。ただ、エース橋本は言った。「結果は銀メダルですけど、今日本できる最高の演技ができた」。連覇こそ逃した。それでも十分に日本の体操の強さを示した闘いだった。

 4種目目を終えた時点でROCに3・4点差を付けられた。しかし、ここから若い力が爆発する。平行棒で萱と北園が15点台をマークし、約1・2点差まで詰め寄ると、鉄棒で橋本が完ぺきな演技で15・100点。一度は奇跡の逆転劇を予感させた。

 コロナ禍による1年の延期。これを追い風にした。栄光を極めた16年リオ五輪以降、体操ニッポンは過渡期を迎えた。けん引し続けてきた“絶対王者”内村航平は30歳を超え、度重なる怪我が襲い、内村を支えてきた田中佑典や山室光史、加藤凌平もトップ戦線から離れていった。次期エースとして期待された白井健三も負傷が続き、“核”を失った。

 リオ五輪以降、団体戦の行われた18、19年の世界選手権は、ロシア、中国の後塵を拝し、ともに3位。水鳥寿思強化本部長は2020年に五輪が開催されていた場合の「確実に3位」と見積もっていた。

 1年延期という天命を受け、若い力にすべてを懸けた。橋本、北園ら10代の可能性を見出し強化。国内大会でも難易度を示すDスコアに基準を設け、超えた場合にボーナスを与える形で技術向上を導いた。日本一丸の執念の強化で、連覇まであと1歩まで迫った。

 24年パリ五輪へ可能性は広がる。跳馬で大技リ・セグァン2を決めた谷川は「19年までは航平さんに頼っちゃっていた。でも僕らが頑張らないと。今回はだいぶそれができていた。この4人で試合ができてよかった。これが今の最強メンバー」と、胸を張った。予選で鉄棒に絞り、金メダルを確実視されていた内村がまさかの落下で予選落ち。ただ、動揺することなく、力を出し切った。

 水鳥強化本部長は「内村選手が落下した後、僕は“内村選手でもこんな失敗が出るんだ”と、構えてしまうんじゃないかと思った。それを気にしないで、自分の演技ができる選手の姿をみて、内村航平ありきの体操ニッポンではなく、彼らが新生体操ニッポンとして表に出て行くと確信した」と、目を細めた。未来への架け橋は、確かに繋がった。

2021-08-08
2021-08-07
2021-08-06
2021-08-05
2021-08-04
2021-08-03
2021-08-02
2021-08-01
2021-07-31
2021-07-30
2021-07-29
2021-07-28
2021-07-27
2021-07-26
2021-07-25
2021-07-24
2021-07-23
2021-07-22
2021-07-21

東京五輪最新ニュース

もっとみる

    東京五輪 写真ハイライト

    主要ニュース

    ランキング(スポーツ)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス