無観客のあづま球場 子どもたちの願いを込めた朝顔がつなぐ交流の輪
「東京五輪・ソフトボール・1次リーグ、日本8-1オーストラリア」(21日、福島県営あづま球場)
23日の開会式を前に全競技の先陣を切って行われたソフトボールの日本は、オーストラリアと対戦。3本塁打を放つなどして8-1で五回コールド勝ちした。「復興五輪」を掲げて福島を舞台に行われた開幕戦では、2008年北京五輪金メダリストのエース上野由岐子投手(38)=ビックカメラ高崎=が先発し、4回1/3を2安打1失点、7奪三振の好投。伝説の「上野の413球」から13年、4717日ぶりの五輪の白星は東京五輪での日本勢初勝利となった。
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無観客でソフトボールが行われているあづま球場には、数え切れないほどの朝顔の鉢が飾られている。福島市内の小学生が育てたもので、一つ一つに「金メダル」「頑張って」などと選手へのメッセージが書かれている。
その数は720鉢。今年の厳しい暑さに花はすぐにしおれてしまうはずだが、不思議なほどどれもきれいに咲いている。それは、子どもたちの思いを届けようと、地元スタッフや警備員の方たちが毎日大量の水やりをしているからだという。
繊細な花びらにホースは使えない。720鉢にじょうろで水をやるのは大変な作業だが、ある関係者は「子どもたちの思いがつまった朝顔。少しでも長く咲かせたい」と話す。
28日には侍ジャパンもやってくる。誰もいない球場に咲く花は、選手の目にも留まるだろう。コロナに絶たれた交流の場をかれんな朝顔がつないでいる。