ソフト上野13年ぶり五輪で力投「やっとこの舞台に」無観客は「正直さみしい」
「東京五輪・ソフトボール・1次リーグ、日本-オーストラリア」(21日、福島県営あづま球場)
08年の北京大会以来13年ぶりに五輪競技に復活したソフトボールで連覇を狙う日本が五回裏の攻撃で8-1と7点差をつけ、コールドで白星発進した。
北京大会優勝の立役者である上野由岐子は先発起用に応えて、一回に3四死球を与えて1点を失ったものの、その後は立ち直って4回3分の1を1失点。13年ぶりに五輪のマウンドの立った気持ちを「感傷はあまりないですけど、このマウンドに立つためにここまで取り組んできたので、ワクワク感しかなかった」と話し、「ワクワク感が大きすぎて興奮しすぎないように、立ち上がりに丁寧に入りすぎて厳しく投げ過ぎちゃったかなと。その反省があったからこそ、2回以降は大胆にデータだけにとらわれることなく、バッターを見て感じるままに勝負できるところで勝負するピッチングに戻せたことが立ち直れた原因じゃないかと思っている。やっとこの舞台に戻って来れたっていう思いの方が強いので、ここで悔いのないように、ここまで積み重ねてきたソフトボール人生をしっかりぶつけて、残して戦っていきたい」と誓った。
無観客試合となったことには「すごく残念な気持ちが大きい」と口にした。18年に千葉で開かれた世界選手権の決勝で延長戦の末に米国に敗れたことを思い出し、「スタンドからのコールでどれだけ背中を押してもらったかという、あの感動は忘れないし、あの声援があったからあそこまで投げきることができた。また、その声援に応えられなかった自分の不甲斐なさだったり、悔しさだというのを今でも忘れてはいない。その恩返しとして今大会はあの時のリベンジをしてやろうという思いで臨んだ大会でもある。そういった意味でも背中を押してもらえる声援がないのは正直さみしい」と語った。
それでも、「やっぱり、一選手としてグラウンドでやるべきことは変わらない。テレビや報道を通してたくさんの方に何かを伝えられるように、ただガムシャラに必死にグラウンドで戦っていくだけ。そういう思いをしっかり、この福島の地に置いて帰れるように、明日の一戦も戦って行きたいと思います」と、今後の戦いへ表情を引き締めた。