玉井陸斗が銀メダル!「すごく重みがある」五輪初参戦から104年、日本飛び込み界の悲願を17歳叶えた!5本目失敗もラスト完璧ダイブで決めた
「パリ五輪・男子高飛び込み・決勝」(10日、アクアティクス・センター)
玉井陸斗(17)=JSS宝塚=が合計507・65点で日本飛び込み界初のメダルとなる銀メダルを獲得した。
玉井は1本目の「407C」で88点をマークし、2位発進。2本目の「207B」で95・40点のハイスコアで首位に立った。3本目も「109C」をノースプラッシュで94・35点をたたき出し、前半3本を終えて2位。中国の曹縁との一騎打ち状態となった。
4本目は倒立からの「6245D」を91・80点でまとめて2位をキープ。しかし、5本目の「307C」で大きなしぶきを上げてしまい、このラウンドで最下位の39・10点で3位に転落したが、6本目は得意技「5255B」(2回半宙返り2回半ひねり)でこの日全演技の中でトップとなる圧巻の99点をマークし、表彰台へと飛び込んだ。メダルが確定すると、両腕を突き上げてガッツポーズし、銅メダルのウィリアムス(英国)と抱き合って、喜びを爆発させた。その後、涙する馬淵崇英コーチとがっちりと抱き合い、表彰式後には「(メダルは)すごい今までにないぐらい重い。写真で見てた通りだなって。憧れの物というか、僕が夢であり、目標だったものなので、すごく重みがあります」と、胸のメダルを愛おしそうに握った。
14歳だった五輪初出場の東京大会では7位。当時は「不安な気持ちが強かった」が、22年世界選手権での銀メダルなど、国際大会で多くの実績を積み重ねて「落ち着いている」と精神的に大きく成長して臨む大舞台だ。玉井は「東京五輪では未知だったけど、ある程度対策できているのかな」と頼もしく語っていた。
これまで日本は同競技でのメダル獲得数は0。日本勢が五輪の飛び込み競技に初参加したのは1920年アントワープ五輪。そこから104年。これまでの最高記録は1936年ベルリン五輪男子板飛び込みの柴原恒雄、同大会女子高飛び込みの大沢礼子の4位だった。飛び込み界の悲願を背負うエースは、2度目の夢舞台に挑む前、「飛び込み界で、日本人でメダルを獲得した人はいない。自分が第1号としてメダルを目標に。自己ベストだったり、自分でできることはやりたい」と意気込んでいた。
◆玉井陸斗(たまい・りくと)2006年9月11日、兵庫県宝塚市出身。小学1年で飛び込みを始め、19年4月の日本選手権では最年少優勝を達成した。21年5月のW杯東京大会で8位入賞し、同8月の東京五輪でも7位入賞。22年7月の世界選手権では日本史上最高の銀メダルを獲得した。兵庫・須磨学園高3年。160センチ、55キロ。