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上尾野辺めぐみ、川澄と4度目頂点へ

2012年6月30日

 昼は育成普及部の仕事で新潟県内の幼稚園を訪問。この日は練習開始までのタイトな時間をインタビューに割いてくれた。「目から下が福山雅治さんに似てると言われます」。同感です。(撮影・吉田 風)

 昼は育成普及部の仕事で新潟県内の幼稚園を訪問。この日は練習開始までのタイトな時間をインタビューに割いてくれた。「目から下が福山雅治さんに似てると言われます」。同感です。(撮影・吉田 風)

 ロンドン五輪に臨む、なでしこジャパン候補のアルビレックス新潟レディースMF上尾野辺めぐみ(26)は、INAC神戸FW川澄奈穂美(26)と幼なじみで同級生。小学2年生から約10年間、神奈川県大和市で同じサッカークラブに所属した。両者が7月2日に発表される五輪代表18選手にそろって選出されれば、小学、高校、そして昨年のW杯に続き、2人で“4度目の頂点”を目指すチャンスが巡る。本紙評論家の元日本代表MF福西崇史氏(35)も絶賛する上尾野辺の才能が、霧の都で花開く。

▼出会い

 あの川澄奈穂美と幼なじみの…。なでしこジャパンが国民栄誉賞に輝いた昨夏から、そんな肩書で紹介される機会が増えた。各メディアの取材を受けるたびに、11年W杯でブレークした川澄との美談が掘り起こされる。INACの本拠地・神戸に本社のあるデイリーさんも…。上尾野辺はそんな表情でこちらの出方をうかがっていた、はずだ。

 今年元日。小、中、高の計10年間、同じサッカークラブに籍を置いた親友を敵に回し、日本一のタイトルを争った。東京・国立競技場で行われた第33回全日本女子サッカー選手権決勝(INAC神戸対アルビレックス新潟)がその舞台。2戦前の準々決勝(AS狭山戦)で左手甲を痛めた川澄と、同じく準々決勝(浦和戦)で左まぶたを3針縫うケガを負った上尾野辺が数々の思い出を封印し、死闘を繰り広げた。 結果は0‐3の完敗。試合中の接触プレーで新たに右目を負傷した新潟の10番は、腫れた両目を包帯に覆われ、痛々しい姿でピッチを後にした。

 上尾野辺「特別意識することもなかったし、試合の前後に、2人で話すこともなかった。時間がたってから(川澄から)『目(のケガ)は絶対あとに残るよ』って言われたけど…(笑)」

 川澄との出会いは19年前の2月。小学3年に進級する直前に、地元横浜市瀬谷区のお隣、大和市のサッカークラブ林間SCレモンズに入団した。既に同クラブに所属していた、目のぱっちりした同級生の輝きは今も目に焼き付いている。

 上尾野辺「互いに同じような背丈で、その年代でも、すごく小さな方だったと思う。奈穂は自分とはタイプが違ったけど、1つ1つのプレーが丁寧で、上級生よりかなりうまかった」

 2人の身長差は現在も変わらず、157センチ。体形も、小顔も、美ぼうもかぶる。幼なじみで、そろって世界一…。比較されるのは、もはや運命と受け入れるしかない。

▼B型

 2人を分かつのは血液型か…。高校卒業後、日体大に進んだ川澄とは別の道を歩んだ。女子サッカー部でインカレ準優勝を飾った武蔵丘短大(埼玉)時代、「興味半分」で人生初の献血を体験。自宅に届いた検査通知に思わずツッコミを入れた。「B?わたし、ABだよ!」。突然、有罪判決を下された気分だった。

 上尾野辺「ずっとAB型だと思って生きてきたし、ちょっとB型をバカにしていたので、ショックだった」

 血液型で性格を占う本がベストセラーになる時代。川澄は几帳面(きちょうめん)とされるA型。典型的なB型と言えば…。

 上尾野辺「皆から『出た!B型』とか、『自己チュー』とか言われる。自覚はないけど…」

 仮にその性格判定が正しければ、B型が災いしたことが一度ある。柔らかなボールタッチ、非凡なパスセンスが各年代で称賛され、短大卒業後の06年に黄金新人として新潟に加入した。前線から中盤への配置転換でさらに輝きを増し、司令塔として代役のきかない存在に成長した。

▼事件

 入団4年目の09年7月に事件は起こる。リーグ戦の真っただ中。就任2年目の奥山達之監督から突然「ベンチ外」を通達された。前月は同年優勝の浦和と引き分け、INAC神戸を下す進撃…。だが、3連勝のかかった福島遠征(東電戦)に上尾野辺の姿はなかった。

 奥山監督「一度、干したんです。大事な試合で絶対に必要な戦力だったけど、ダラダラやっていればチームに悪影響だし、やればすごいと思われる人間なのに、やらない時期があって…」

 当時を知るチーム関係者は「(上尾野辺の姿勢に)不満を持つ選手もいた。ただ、彼女は不可欠な存在なので、監督もそのままにしておくかなと思っていたら、そうじゃなかった」と振り返る。

 奥山監督「あの時が彼女の分岐点。悪い行動をすれば、なぜあいつはやらないんだ!となり、やればやっぱりすごいとなる。このチームに思い入れがあるなら、あなたはそういう立ち位置なんだから…と伝えた」

 指揮官の叱咤(しった)で目を覚ました上尾野辺は同年、なでしこリーグのベストイレブン(MF部門3選手)を初受賞し、なでしこジャパンの仏遠征で代表デビュー。翌10年のなでしこリーグオールスターでは最優秀選手賞を獲得した。

 MF沢穂希がMVPを獲得した昨年のドイツW杯は「川澄の大会」でもあった。準決勝スウェーデン戦で2ゴールを挙げた親友が一躍脚光を浴びる一方で、上尾野辺は控え組を脱せず、同戦の後半44分にようやく、宮間あやと交代で初出場。5戦目にして出番が巡ったが、そのわずか1分+ロスタイムが同大会(計6戦)で佐々木則夫監督から与えられた唯一の出場機会だった。世界一の感慨、達成感は…。B型の彼女に聞くのは野暮(やぼ)かもしれない。

 上尾野辺と川澄。永遠の戦友だが、林間SCレモンズ時代に2人を育てた恩師、加藤貞行氏(64)は証言する。「上尾野辺の技量を10とすれば、川澄は6。それくらい、上尾野辺はうまかった」。

▼思い出

 中学進学と同時に入団した地元クラブの大和シルフィードで川澄とのホットラインは熟成し、高校3年で全国高校フットサル大会を制覇。これがK・Kコンビで奪った2度目の王座だった。ではお約束。とっておきの美談を…。

 上尾野辺「奈穂との一番の思い出はやっぱり、あの試合かな。奈穂からのパスを自分が決めて、優勝できたので」

 小6(97年)の夏、静岡県清水市で開催された「清水カップ」に出場。快進撃を続けたSCレモンズはJ1清水の本拠池、日本平スタジアムでの決勝戦でFC今宿を破り、全国32チームの頂点に立った。1‐0の決勝点はストライカー上尾野辺の左足。司令塔川澄の右足から放たれたスルーパスを豪快に蹴りこみ、大会MVPに選ばれた。

 上尾野辺「いつの間にかポジションが逆になったけど、あの時は奈穂が中盤で自分がフォワード。ゴール場面はあまり覚えてない。でも、いいパスだったと思う」

 幼なじみで“4度目の頂点”を目指す舞台はロンドン。サッカーの母国で上尾野辺のラストパスを川澄が決める。15年前のお返しは、黄金の左足でフィードする。

  ◇  ◇

▽上尾野辺めぐみ(かみおのべ・めぐみ)

◆誕生 1986年3月15日、横浜市生まれ

◆サイズ 157センチ、52キロ

◆血液型 B

◆利き足 左

◆好きなサッカー選手 松田直樹、柳沢敦、ロナウジーニョ

◆好きなアーティスト Superfly、大黒摩季

◆好物 すし(特にうに)、焼き肉、ラーメン

◆好きな漫画 『GIANT KILLING』(ジャイアントキリング)

◆好きな芸人 森三中

◆経歴 5歳でサッカーを始め、小学2年のとき、同い年の川澄奈穂美(INAC神戸)が所属していた林間SCレモンズに入団。6年時の97年に全国大会3位入賞。同年に制した清水カップでは大会MVPを獲得した。原中学、県立商工高時代も川澄と同じ大和シルフィード(第1期生)でサッカーを続け、高校3年の03年にフットサルで全国制覇。高校卒業後、埼玉の武蔵丘短大に入学し、女子サッカー部でインカレ準優勝。06年、アルビレックス新潟入団。11年ドイツW杯日本代表で世界一。MF。

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