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内田有紀似の“イケメン”長船加奈

2012年6月7日

 職場の酒店で、同僚たちからのエールに笑顔でレジに立つベガルタ仙台レディース・長船

 職場の酒店で、同僚たちからのエールに笑顔でレジに立つベガルタ仙台レディース・長船

 170センチの長身DF長船加奈(22)は、ロンドン五輪に臨む日本代表(なでしこジャパン)の最終候補。東日本大震災で被災した東京電力女子サッカー部マリーゼの一員だった長船は現在、東電からチームの移管を受けたチャレンジリーグ、ベガルタ仙台レディースで活躍中だ。大阪府豊中市で暮らす母・かをりさんから“男前”教育を受けたイケメンなでしこが夢に掲げるのは…。彼女が大好きな大阪弁で直撃した。

▼豊中産の“母子鷹”

 内田有紀に似てると言われる。背丈は藤原紀香と同じ170センチ。おそらく冨永愛より小顔だ。あしたサッカーをやめても、華やかな業界から声がかかりそうな“イケメン”なでしこのルーツは、大阪。今回が「3回目」という慣れないインタビュー取材で。別れ際に郷土愛がこぼれ出た。

 長船「大阪弁のインタビューが、めっちゃうれしかった」

 東北で大阪弁。今どき珍しくもないが、まるでためらいのないところが“男前”。大阪から仙台にお邪魔した取材班の心は、わしづかみにされた。モデルばりのルックスに似合わない?こてこて感。東北なまりに負けじと豊中生まれの22歳が、誇りを胸に大阪弁を貫いている。

 母・かをりさん(以下母)「『故郷を忘れたらあかん。方言は育った地域の文化やろ。これを忘れたら、終わりや』。娘はいつもそう言うんです」

▼コテコテの大阪弁

 平成元年生まれが、地でいく浪花節。なでしこリーグを知らない大阪のおっちゃんを虜(とりこ)にする素質は十分だ。

 長船「この取材、いつ載るんですか?」

 掲載日を楽しみにしている本人から「何の取材やったん?」と突っ込まれそうなので、サッカーの話を…。

 なでしこジャパンの佐々木則夫監督は、長船の資質を「代表のディフェンスラインの中で、最もスピードある選手」と評する。鮫島彩(モンペリエ)、近賀ゆかり(INAC神戸)、岩清水梓(日テレ)、熊谷紗希(フランクフルト)らドイツW杯を制したそうそうたるメンツをしのぐスピードは、どこで培われたのか。

 母「家の中にジャングルジムがあったんです。昔、流行(はや)った家庭用の4段のやつで、加奈はよう遊んでました。彼女の運動神経は、そこから出てきたもんとちゃいますかね…」

▼陸上で快足に磨き

 幼少時代、ジャングルジムで錬磨された身体能力は、10代前半で頭角を現す。中学進学と同時に陸上部に入り、3カ月間、サッカーを中断。深い理由は「思い出せない」が、短距離走に没頭した。地元のクラブ「豊津女子FC」から熱心な誘いを受け、再びボールを蹴り始めたのは中学1年の夏休み。高校までの3年間は二足のワラジで「快足」に磨きをかけ、100メートル競技で豊中市の大会を制した。週末はサッカーの公式戦を優先したため、陸上の府大会を棄権することも多く“大阪制覇”は、かなわなかった。なでしこジャパンの秘密兵器となりうる俊足は、タータントラックで養われたものだ。

 大阪府立豊島(てしま)高校卒業後、東京電力に就職。福島県楢葉町で人生初の寮生活が始まった。女子サッカー部マリーゼ不動のDFとして、なでしこジャパンに初招集されたのは09年の夏。10年のアジア大会で金メダルを獲得した。将来を嘱望される大器として、順風満帆なサッカー人生を歩んだ。予期せぬ惨事が身に降りかかるまでは…。

▼マリーゼ一時解散

 母「電話かけてもつながらへんし、どないなったんやろって、気が気じゃなかった。娘から連絡があったとき、命があって良かったって…」

 昨年3月11日はマリーゼの合宿で宮崎にいた。午後2時46分は南国のピッチの上。豊中で暮らす両親は娘が福島で被災したと思い込み、携帯電話を握りしめた。宮崎市の海岸線に津波警報が発令され、選手、スタッフはホテルに避難。部屋に戻ると、スマホの画面は着信の山…。津波を映すテレビの前で立ちつくし、事態の重さを知った。

 長船「何にも考えられなかった。親に合宿のこと言うてなかったんで心配かけました」

 練習場だった福島のJビレッジは震災後、ヘリポートや駐車場、前線基地として利用され、美しく管理された芝のピッチは姿を消した。マリーゼは宮崎合宿を急きょ切り上げ一時解散となった。

 母「義援金をどこに送ればええのか、双葉町の役場は丸ごと引っ越したみたいやけど、連絡したほうがええのか。被災者届けは…」

 福島に戻ることも許されず、実家の食卓は家族会議の場。「これからどうなるんやろ…」と、不安の日々を過ごした。

 楢葉町の寮に一時帰宅が許されたのは、大震災から半年後の9月。変わり果てた第2の故郷を目の当たりにして声を失った。

 長船「悲しくて、言葉にならなかった」

 貴重品を段ボールに詰めながら、6カ月間の感情がこみ上げた。

▼全員がアマチュア

 今季から移管先のベガルタ仙台レディースで再スタートを切った。選手は全員アマチュア契約。長船は仙台市泉区の大型酒販店「やまや」で6000種類の名酒に囲まれ、夕方まで勤務する。この取材直後、仙台はジュブリーレ鹿児島戦(3日)に3‐0で勝ち、長船はフル出場で完封に貢献。現在、チームはチャレンジリーグ首位に立っている。

 長船「夢?このチームで、みんなと長くサッカーをやること」

 五輪に出たい。世界一になりたい。当然、野心はある。それでも、真っ先にチーム愛が口をつくのは、未曽有の大震災を経験したから。

▼リーグと全日本V

 長船「なでしこリーグに上がって、日本一になりたい。リーグも全日本選手権も獲(と)りたい。このチームでそれを達成できたら、サッカーをやめてもいい」

 母「自分に負けたら終わりやで」

 内に秘めた負けん気はオカン譲り。内田有紀似の美形もスタイルも…。

 母「顔?雰囲気は私に似てます。そんなん新聞に載ったら、皆さんの前に出れませんやん」

 豊中産の“母子鷹”が杜の都で夢をかなえる。

  ◇  ◇

▽長船加奈(おさふね・かな)

◆誕生 1989(平成元)年10月16日、大阪府豊中市生まれ

◆サイズ 170センチ、55キロ

◆血液型 B

◆利き足 右

◆好きなサッカー選手 岩清水梓

◆得意料理 卵焼き

◆家族 両親と兄、弟

◆経歴 兄の影響で4歳からボールを蹴り始める。小学6年間は豊中ひじりFCに所属。中学、高校時代、豊津女子FCで頭角を現した。高校卒業後、東京電力女子サッカー部マリーゼに入団。09年になでしこジャパンに初選出され、国際親善試合ドイツ戦で代表デビュー。10年アジア大会で金メダルを獲得した。11年シーズンは東日本大震災の影響でマリーゼが活動を停止したため、一時的に日テレ・ベレーザに移籍。今季から東電マリーゼの移管先のベガルタ仙台(チャレンジリーグ)で活躍する。

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