【朝原宣治の目】信じられない光景…日本の「勝因」は劣らない走力と走順

 「リオ五輪・陸上男子400mリレー・決勝」(19日、五輪スタジアム)

 山県亮太、飯塚翔太、桐生祥秀、ケンブリッジ飛鳥の日本が、37秒60のアジア新記録で銀メダルに輝いた。2008年北京大会の銅を上回り、1928年アムステルダム大会女子800メートルで銀メダルの人見絹枝に並ぶトラック種目の最高成績。

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 ゴールで米国とカナダが日本の後ろにいる。信じられない光景でした。バトンパスの思い切りの良さには、お互いが信頼しきっていることがよくわかりました。他競技を見ても、日本人はチームプレーになると特に力を発揮するようです。

 勝因は走力と走順だと思います。山県君のスタートは世界のほぼトップ。飯塚君は200メートルの選手で400メートルも走ります。ブロックからのスタートは100メートルの選手ほどスピードはありませんが、加速してしまえば最後までスピードをキープできる。最後まで失速しなかったので、桐生君にあれほど勢いをつけてつなげられました。

 桐生君の世界トップともいえるコーナーの加速走、ケンブリッジ君の最後の粘りを見ても、日本人の走力は決して劣ってはいません。個人種目では厳しいが、バトンパスの高い技術でリレーなら日本も世界と勝負できるとよく言われます。しかし、バトンパスの技術だけではこれほどのタイムは出ません。今回の結果から走力自体も劣っていないと確信しました。

 加速してからの中間走は世界トップと同格。つまりスタートからの加速を見直せば、個人種目でもいけるのではないか。私自身そう思い始めています。

 黒人選手に追いつこうとして同じスタートのやり方でいいのか。我々に合った形があるのかもしれない。個人種目でも躍進するために、もっと広い視野で東京へ向けて考えていく必要がありそうです。(08年北京五輪男子400メートルリレー銅メダリスト、「NOBY T&F CLUB」主宰・朝原宣治)

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