陸上走り高跳び・衛藤昂 1センチの壁越えた緻密な自己管理

 陸上男子走り高跳びの衛藤昂(25)=AGF=は、6月の日本選手権(名古屋)で自己記録を1センチ更新。参加標準記録の2メートル29を跳んで2年ぶりに優勝し、初の五輪出場を決めた。1センチの壁を突破したジャンパーの努力の陰には、所属先で学んだ栄養学の知識など綿密な自己管理があった。

 筑波大大学院を修了し、故郷に戻って1年あまり。衛藤の朝は早い。実家から三重県鈴鹿市のAGF鈴鹿工場までは自転車で10分。朝7時半に出勤すると、管理部総務グループの一員として机に向かう。工場運営に必要な資格取得者リスト作りなどを午後3時半までこなし、その後、練習に打ち込む規則正しい毎日を送っている。

 練習場所は近くの陸上競技場か母校の鈴鹿高専。所属先の初の陸上選手に練習仲間はいない。「時間や量は大学院の方が多かったが、調子の波も大きかった。限られた時間の方が(調子の波がなく)継続して練習できる」。ストイックなサラリーマン生活が好循環を生んでいる。

 日本選手権では2年前に初めて出した自己記録2メートル28を1センチ更新。五輪切符をもぎ取った。「今日という今日まで(参加標準の2メートル29が)跳べず、ラストチャンスと挑んだ」

 重圧の中では、栄養学の知識も力となった。親会社の味の素グループの専門部署によるデータで、サプリメントを飲む最適な時間を把握。特にゼリー状の栄養補助食品は時間をかけて一口ずつ摂取することが重要だと知った。「高跳びの試合は長時間で、特に後半に高さが上がった時が大事。少しずつ補給することで集中力と栄養を持続できる」。日本選手権でも、ピットで少しずつ口にして粘り勝ち。同社グループ所属で初のオリンピアンとなった。

 大一番を「体力的にピークを合わせることができ、技術的な課題も修正できた」と振り返った衛藤。大舞台で自己管理は武器となる。世界の壁は高いが、まず2メートル30の大台を目指してリオに乗り込む。

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