米満が金!日本史上最多38個目メダル

 金メダルを獲得し、日の丸を振る米満達弘(撮影・出月俊成)
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 「ロンドン五輪・レスリング男子フリースタイル66キロ級」(12日、エクセル)

 決勝で、米満達弘(26)=自衛隊=が2008年北京大会銅メダルのクマール(インド)を2‐0で破り、男子では1988年ソウル大会以来24年ぶりの金メダルを獲得した。日本はこのメダルで今大会38個となり、04年アテネ五輪の37個を抜き史上最多となった。また、通算獲得メダル数も400個の節目だった。96キロ級の磯川孝生(28)=徳山大職=は2回戦で敗退した。

 起死回生の大技でロンドンが揺れた。決勝の第2ピリオド30秒、米満はクマールの懐に飛び込んで両足タックル。そのまま相手を“米俵”のように大上段に担ぎ上げてマットに叩きつける3点技で勝負を決めた。試合終了と同時に、米満は“タツ・ダンス”を披露して喜びを爆発させた。

 今大会を締めくくる金メダルは、男子レスリングではメダル紛失事件で有名になった88年ソウル五輪フリースタイル48キロ級・小林孝至と同52キロ級・佐藤満以来24年ぶり。さらに、04年アテネ大会を抜く日本史上最多の38個目、日本の五輪初参加100周年で通算400個目のメダルという記録ずくめの大団円となった。

 「夢みたいです」。充血した左目を瞬いた。準々決勝でカナダ選手にサミング(目つぶし)された。さらに親指を除く4本の指を口の中に入れてフックされ、口内が切れた。「痛いと思ってかんだら、相手が驚いた」。そんな死闘を勝ち抜いた。

 決勝の相手は“インドの狂虎”クマール。少年時代からあこがれた初代タイガーマスクをほうふつさせる胸の虎マークに突き動かされ、パワースラムを思わせる大技を出した。必殺技『いざとなったら出るアレ』(米満)だ。“アレ”には伏線があった。

 6月の合宿中に右ろく膜炎を発症。「体をねじると痛い」。痛み止めの注射を打ったが、この日の初戦で再発。「体をひねる寝技は痛くてできない。立ち技で正面から出す大技『アレ』なら痛くなかった。アレ、しかなかった」。逆境の中から飛び出した必殺技に底力を見た。

 レスリングを始めたのは高校時代。「小学生から始めるのが普通だが、高校からでも金メダルが取れると証明できた。僕は『非常識』がやりたい。人が考え付かないこと、不可能を可能にすることを」。アントニオ猪木が提唱した『非常識』を踏襲する。金メダリストの大先輩、高田裕司専務理事は「今までの日本人にないタイプのレスラー」と絶賛した。

 「まだ満足はしていない。ただ、ブルース・リーと宮本武蔵にはちょっと近づけた。影を踏めた」。今後も、自身の2大ヒーローの影を追う。

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