北村弁護士 賭け麻雀は1円でも違法

 巨人の福田聡志投手が野球賭博行為に関与していたことが明るみになり、激震が走った。巨人の発表によると、最終的な負け額は百数十万円になるという。賭博はいわゆる「賭けマージャン」や「賭けゴルフ」など、市民生活に浸透していると言っても過言ではない。これらも刑法が定めた「賭博罪」に反するのか。日本テレビ「行列のできる法律相談所」に出演する北村晴男弁護士に聞くと、「1円でも賭博は違法行為」と断じた。

 刑法185条が定める賭博罪。「賭博をした者は、五十万円以下の罰金または科料に処する。ただし、一時の娯楽に供する物を賭けたにとどまるときは、この限りではない」と定めている。

 「一時の娯楽」とは一体、何なのか。

 北村弁護士は「大正13年の大審院判例が今も生きていると考えるのですが、現金はだめ。1円でも」と述べた。「金銭はその性質上、一時的な娯楽に供するものとは言えない」という判決。金銭ではなく、お菓子や飲み物、食事だと違法とはならない。ただし、その値段があまりに高いと違法となる。

 ここで疑問に思うのが「幾らなら大丈夫で幾らならアウトなのか」ということだ。しかし、この線は明確になっていないという。

 北村弁護士は「非常に分かりづらい」と法律としての問題点を指摘。「分かりづらいことがどのように影響するかというと、違法性の意識の低さに影響する。5000円くらいなら大丈夫だろうとか思い込んでしまう。法律として明確であることが重要」と指摘した。この違法性の意識の低さが福田投手の行為を招いたとも考えられる。

 その上で北村弁護士は「しかし、警察や検察は賭け事をすべて取り締まりたいとは思っていない。取り締まりたいのはやくざ絡みか大金が動いた時」と指摘した。

 なぜ、取り締まらないのか。その理由の一つは、そもそも賭博が絶対悪とは一般的に思われていないことをあげた。北村弁護士は「競馬などの公営ギャンブルが幾つもある。役所が胴もとなら問題ないのかという批判がある」と指摘。

 加えて北村弁護士は、賭博を禁じることが「憲法違反」と考える法曹関係者もいることをあげた。「賭博を禁じる背景には『勤労意欲を失う』という考えがある。しかし、ゴルフやマージャンでわずかな金銭を賭けたからといって勤労意欲は低下しないのでは」と指摘。趣味のゴルフで少額を賭けて楽しむという行為は憲法13条が認める「幸福追求権」に反するとする考え方があるという。

 北村弁護士は「現状のままの法律では分かりにくい。例えば『1回で5万以上は違法』などと明確にすべき。そうすることで違法意識もはっきり生まれ、裏社会への資金源となることもある程度は断つことができる」と語った。

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 北村晴男(きたむら・はるお) 弁護士。長野県出身。日本テレビ系「行列のできる法律相談所」にレギュラー出演。趣味はゴルフ、野球。月2回スポーツを中心としたメールマガジン「言いすぎか!!弁護士北村晴男 本音を語る(https://www.tama-project.com/mailmagazin/)」を配信中。

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