「やっと辿り着いた」バイト先や薬局…出合い方が独特、SOMETIME’Sの音楽とは?

「いつも行くお店でよく流れてて、頑張って歌詞を聞き取って5回目で辿り着きました」「USEN(音楽放送サービス)のランキング調べまくって、やっと出合えた」・・・YouTubeにそんな熱量のこもったコメントが寄せられているのは、横浜出身の2人組ユニット・SOMETIME’S(サムタイムス)だ。

音楽を認識して曲名を教えてくれるアプリ『Shazam』の「Discoveryチャート」で1位を獲得、音楽配信サービス『AWA』で急上昇楽曲NO.1に輝くなどじわじわと話題になっているSOMETIME’S。8月25日にはメジャー1stアルバム『CIRCLE &CIRCUS』をリリースし、注目を集めている彼らに話を訊いた。

■ 「僕たちもYouTubeのコメント欄で知りました(笑)」──SOMETIME’SのYouTubeチャンネルのコメント欄を見てると、バイト先、仕事場、喫茶店、給食の時間など街のさまざまな場所で耳にして、検索ツールを駆使して出合ってるのがわかります。USENやラジオなどを通して知られることが多いのは、SNS全盛のこの時代にかなり珍しいパターンだと思うのですが。

TAKKI「珍しいですよね。僕たちもYouTubeに寄せられたコメントを見て、初めてそういう知られ方をしていることを知りました」

SOTA「リスナーさんが僕らの音楽と出会った場所を知る機会って、なかなか少ないんです。というか『こんな場所で知った』とわざわざ伝えてくれるのって、YouTubeならではの独特な文化かも」

──偶然聴いた人が検索して探し出すくらいの、「出会いを逃したくない」と思わせる曲作りは意識されていたんですか?

TAKKI「そういう意識は実は持っていなくて。もちろん、どんな曲調やナンバーが人気かというアナライズは、今後必要になってくるとは思うんですが、2020年に本格始動したばかりなので、歌詞やプロモーションの部分では決まりきっていないことばかりなんですよね」

──意識せずとも聴き手を惹きつけてたんですね。SOTAさんが作曲、TAKKIさんが作詞担当ということですが、作詞・作曲はどのように進めているんですか?

SOTA「頭に浮かんだフレーズがあればすぐに録音し、そのワンフレーズから曲を作り上げていくスタイルです。で、出来上がった曲にTAKKIが歌詞を重ねていくという」

TAKKI「SOTAが持ってくる曲は、デモ段階でものすごく英詩ぽいんですね。めちゃくちゃな英語ではあるんですが、その分独特。SOTAならではの『はねる』メロディーは、そのままなるべく拾って歌詞にしたいと思っています」

──確かにSOMETIME’Sの曲は耳に残るメロディーや口ずさみたくなるフレーズが特徴的ですよね。

TAKKI「僕らの歌詞は英語が混ざってる分独特に聞こえるかもしれないですが、比喩やワードにこだわっているつもりはありません。どっちかというと、どこにでもあるような言葉ばかり」

──歌詞そのものにメッセージを込めるというよりは、メロディーに合うかということを重視しているということですか?

TAKKI「やっぱり、メロディーとリズムが重要だと思っています。SOTAが作るメロディーに対して、きれいに言葉が乗る・・・。言葉が邪魔せず、うまくマリアージュすることがSOMETIME’S感に繋がっていく。しっかりとメロディーと歌詞がハマっていることが、人々の耳に残る理由のひとつだったりするのかな」

■ 「刺さるような側面を考えたほうがいいかも」コロナ禍で心境の変化──音作りにおいては、アレンジャーの藤田道也さんという方の存在が大きいとうかがっています。

SOTA「彼はもう、3人目のメンバーですね。例えば、『CIRCLE&CIRCUS』収録の『Signal』。デモ段階では横ノリ風のスローテンポな曲だったんですけど、藤田のアレンジで大きく変わりました」

──『Signal』といえばドライブミュージックのような疾走感が印象的だったので、最初スローテンポな曲だったとは驚きです。

SOTA「僕ら以上に、アルバム内の曲調や音のかぶりを考えてくれている。僕らは2人で活動しているので、サポートミュージシャンや制作チームの存在は欠かせませんね」

TAKKI「サポートメンバーは音楽的偏差値が高いんです。『ボーカルがこのリズムなら、自分たちはこれぐらいのタイム感の方がいい』といったやり取りを、ライブやレコーディングにおいて何度も重ねます。僕らにとって命ともいえるリズムは、メンバーとのやり取りからも繋がっています」

──そういった制作チームやファンとの繋がりやあたたかみを、音楽面で表現していきたいという気持ちを込めて「リスナーにとって、空気のような存在」を目指しているんですよね。

SOTA「根幹としてはその思いがあります。でもコロナ禍や今回のリリースを経て、『ザクッと刺さるような側面・アプローチ』も考えたほうがいいかも、と思うようになりました」

──心境に変化があったんですね。

SOTA「語弊はありますが中毒性というか・・・。一抹の『痛気持ちよさ』みたいな。喉にひっかかかる感覚を残しつつ、でもきちんと胃に落ちていくような。何か摩擦感を感じさせる、分かりやすいメッセージがあっても良いのかな、と考えつつあります」

2人は「基本的にやりたいこと・思いついたことはすべてやりたくて。自分たちの能力が足りなくて諦めてしまうのは残念すぎる。そのためにも輪をどんどん大きくしていきたいです」と力強く締めくくった。

雑踏のなかでも惹きつけるSOMETIME’Sの音楽。そんな彼らが「リスナーに刺さるポイント」を意識し始めたら、今後さらなる進化を遂げるのかもしれない。

新アルバム発売を記念したライブ『SOMETIME’S CIRCLE&CIRCUS Release Tour 2021』は、大阪では「阿倍野ROCKTOWN」で10月15日、東京では「Shibuya WWW」にて10月30日におこなわれる。

取材・文/つちだ四郎

(Lmaga.jp)

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