パンダのタンタン、日本で迎えた最後の誕生日

「神戸市立王子動物園」(神戸市中央区)のメスのジャイアントパンダ・タンタン(旦旦)が、9月16日に25歳の誕生日を迎えた。タンタンは中国への帰国が決定しており、今回が日本で迎える最後の誕生日となる。

タンタンは日中共同飼育繁殖研究の目的で、2000年7月に初代コウコウとともに来日。当初10年の約束だった期間が延長され、約20年間『神戸のお嬢さま』と呼ばれて多くの人々に愛されてきた。

お誕生日当日は休園日。誕生日会では取材陣が見守るなか、タンタンにプレゼントされたのはケーキ状のエサ。タンタンの担当飼育員の梅元良次さんと、吉田憲一さんの2人が1カ月前からデザインを考えて準備し、2回の試作を繰り返して完成させた、2段重ねの力作だ。

氷で土台が作られ、タンタンの好物であるリンゴやブドウ、ニンジン、ペレットなどで飾り付けられており、上山裕之園長は「大きくて立派なケーキ。おめでとうと今までありがとう、2つの気持ちがあり複雑です。中国に帰ってもこうして誕生日をお祝いしてもらえたら」と話す。

ケーキ状のエサを食べるタンタンを眺めながら、飼育員の梅元さんは「あまり日本で最後の誕生日とかは考えていませんでしたが、食べるのをみていたら実感がわいてきました。ここで誕生日を迎えられてうれしいです。ケーキにはタンタンへの感謝の気持ちを込めました」と語った。

お誕生日会では、一度ケーキを素通りし、やぐらの上でくつろぎ、10分ほどして落ち着いてから、やっとケーキに手を伸ばしたというハプニングもあったため、吉田さんは「今日はプレッシャーで早朝から目が覚めました。そんななか、タンタン空気を読んでくれてありがとう」とほっとした様子だった。

タンタンの帰国について梅元さんは、「本当は7月に帰国しているはずなので、複雑な気持ちですね。ただ、ここにいてくれるのは素直にうれしい。コロナ禍で人数制限などもあり、みんながみんなタンタンを見ることができない。ほんの数分のために遠くから来てくれるファンの方もいて、すごくありがたいと思っています」と話す。

さらに「ファンの方々が『タンタンの帰国が決まって私たちも悲しいけど、飼育員さんはもっと悲しいでしょう』と言ってくださって。この言葉がすごく心に残っていますね。タンタンは僕にとって、もう家族みたいなものだから」と今の心情を語ってくれた。

タンタンの帰国時期はいまだ未定。同園は現在、入園とジャイアントパンダの観覧に、公式ホームページからの抽選による入場制限を実施中。今回のタンタンのお誕生日会の様子は、メイキング映像なども含め、同園の公式SNSとYouTubeでも配信される。

取材・文・写真/二木繁美

(Lmaga.jp)

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