男女コンビ蛙亭「キングオブコント優勝目指し東京へ」

シュールな世界観のコントにハマる人がジワジワと増えている男女コンビ・蛙亭。全てのネタを考える司令塔的役割の岩倉美里と、岩倉の才能を認め、優しくサポートする中野周平。4月に東京進出する2人がなぜ決意したのか、結成秘話から今後の目標まで語ってもらった。

取材・文/西村円香 写真/南平泰秀

「私が何をしても怒らへんから、無敵やん」(岩倉)

──NSCでの相方を探す会がコンビ結成のきっかけだそうですね。

岩倉「それまではピンでネタをしていました。話しかけにくい人と思われていたし、人見知りだし、ずっとひとりでした」

中野「僕は話しかけていたんですけど相方ができずに・・・。相方を探す会では、みんな婚活みたいにPRしたり自己紹介したりするのですが、なかには大喜利を披露する人もいて。スベる人もいるんですが、岩倉さんがウケていたのですごいなと思ってしゃべりかけました」

岩倉「私的には大喜利も、イケイケなクラスの人気ものっぽい人がウケていたのであんまりだったなと落ち込んでいたんですけど、面白かったと言ってもらえて。コイツと組んだら、ずっと面白いと言ってもらえるかなと、ご飯とか行って仲良くなりました」

──そんな経緯だったんですね。

岩倉「女のコンビは喧嘩するし無理だと思っていたし、中野さんは私が何をしても怒らへんから、無敵やんと。残してしまった食べかけのご飯を渡してもパッと食べてくれるんですよ」

中野「その言い方やと、僕が食いしん坊なだけやん」

岩倉「私は遅刻癖があるんですけど、正式に怒られたことがないです。優しい」

──芸人になりたいと思ったのはいつ頃からですか?

中野「僕は中学3年生のときに芸人になりたいと思ったんです。テレビ番組の『リンカーン』でダウンタウンさんなどを見ていて、こういう道もあるんだなぁと。そんな裕福でもないし、やりたいこともないのに大学に行くのは悪いなぁと思っていたのですが、高校卒業してNSC(吉本の芸人養成所)の入学金を貯めるために就職して、『みどりの窓口』で駅員をしていました」

岩倉「私は小学生のとき、『なんばグランド花月』で新喜劇や漫才を見たのがきっかけです。出身地の宮崎には、テレビ局も2つしかなかったし、お笑いの文化がない。だから、人を笑わせるってすごいと思って、すぐお父さんに『将来、吉本に入る!』って言いました。中学生のときにNSCを知って、2年間バイトでお金を貯めて入学したのですが、父は『本当に行くの!?』ってビックリしていました」

「東京進出大賛成。決意した相方はすごい」(中野)

──男女コンビで女性側がネタを書くのは珍しいと思うのですが?

岩倉「漫才劇場のバトルイベントで漫才やっていたんですが、結果がイマイチで。でも、1回コントをやってみたら上位になれたんです。そのコントは私がネタを書いていたので、それで書き始めました。私のなかでは、中野さんが人形みたいな感じで。中野さんがどうなっていたら面白いかを考えて書いています」

中野「それまでは劇場にネタを提出するのも僕がやっていたけれど、5~6年前のある日、急に『私が全部やるわ』って。それ以来、ネタ作りも劇場のネタ選びも100%任せています」

岩倉「ネタは事前に決めておくより、当日いきなり伝えた方が実力を発揮してくれるから。ネタ中も良い表情するんですよ(笑)」

──結成8年になりますが、男女コンビのやりにくさや喧嘩などもなく?

中野「もともと大喜利とか考えることが面白くて組みたいと思っていましたし、やりにくさはないですね」

岩倉「キングオブコント準決勝のネタを決めるとき、コレでやるわって伝えたら違うネタがいいと言われて。その時は、マジで黙ってくれと思いました・・・」

中野「基本的には任せているし、意見することはないですけど、そのときはキングオブコント初準決勝進出ということもあり、自我が出てしまいましたね。結果、岩倉さんが決めた2本でやったら楽しかったんですけど」

岩倉「お客さんの反応も良くって、ネタ後のインタビューで中野さんが『このネタ史上、一番ウケました!』って言ってて、黙っとけよ、こいつマジか(怒)って思いましたけど」

──東京進出を決めたのはなぜですか?

岩倉「『キングオブコント』で優勝するのが目標になって、東京で勉強したいと思ったから。めちゃめちゃ面白いし、演技もうまい人がたくさんいる。今の自分たちにないものを勉強しに行きたいなと思って、私から中野さんに言いました」

中野「僕も絶対東京に行った方がいいと思っていたので大賛成だけど、決意するってすごいなと」

岩倉「実は3~4年前にも東京に行きたいと思って、当時の劇場支配人に伝えたんです。そのときは、『蛙亭はもうちょっとこっちで頑張ったほうがいいよ。東京で潰れる芸人もたくさん見ているから』と言われて。そのときの東京行きたいという気持ちは、今よりも軽い感じだったから、その時に決めなくて本当に良かった。東京の芸人さんで好きなのは、かもめんたるさん。面白いだけじゃなくて、インパクトが強い。そんなネタを作りたいなと」

中野「僕もかもめんたるさんはめっちゃめちゃ好きです。あと、キングオブコメディさんも。東京のライブシーンで活躍されている方々は尊敬しています」

「漫才もコントも、両方面白くなりたい」(岩倉)

──以前、テレビ東京の『ゴッドタン』で出演されていたコント師のみなさんが、今注目しているコンビとして蛙亭をあげるなど、コンビとしての勢いを感じます。今は、コントも漫才もされていますが、東京ではやはりコント中心に?

中野「東京の芸人さんに注目してもらっていることは、収録でかが屋に会ったときに教えてもらって。僕らの知らないところでそう言ってくれてたなんて、こしょばい(くすぐったい)感じとうれしい感じがしますね」

岩倉「漫才もします! コントの方が好きなんですけど、大阪のコント師のロングコートダディさん、セルライトスパさん、ニッポンの社長さんとかは漫才もコントも面白い。面白い人はなにやっても面白い。自分も両方面白くなりたい・・・漫才は難しいけど」

中野「漫才も好きです。やって楽しいのはコントだけど、漫才も楽しいから両方やれたらいいな」

岩倉「コントの魅力は、役に入ったら普段の自分と違うことができること。ギャル役をしたら、普段はしゃべることができない関西弁も喋れるんですよ。中野さんはギャルが好きなんですよ。私がウィッグをしてギャルっぽいメイクをしていたら『意外にいい素質を持っている』って言われて気持ち悪かった・・・」

──大阪を離れて寂しいことはありますか?

中野「僕はお絵かき芸人として、土日公演のオープニングを盛り上げたりしているので、その活動ができなくなるのが寂しいです」

岩倉「たくさんの先輩にご飯に連れて行ってもらっているんですが、一番はヒガシ逢ウサカの今井さんなんです。NSCのときから良くしてくださっていて。東京に行ったら、私より今井さんのほうが寂しがるだろうな。ちょっと心残りなのは、ジソンシンの酒井さんが好きなんですが、好きすぎて近づき辛くて、今ラッシュをかけてしゃべっています。酒井さんに会えなくなるのは寂しい。今井さんに会えないのはいいけど・・・」

中野「東京だと岩倉さんが100%電車をミスるのが心配なんですよね。道もよく間違えるし、5分で着くと思うと、5分前に家を出るタイプなんで」

岩倉「そこだけは気を付けようと思います・・・。中野さんも、そんな私に気を付けてほしいと思います。また新しい環境かと思うと不安になるけれど、尼神インターの2人や仲のいい先輩がたくさんいるし、他事務所の方々と会うのも楽しみ!」

中野「僕も霜降り明星の粗品さんとかコロコロチキチキペッパーズのナダルさんとか、先輩がいっぱいいるので安心です。あと、今年は僕らだけでなく4組くらいが近い時期に東京進出をします。同じ気持ちの人がそれだけいると思うと心強いです」

──東京でも最高のコントと漫才を見せてくださいね!ありがとうございました。

(Lmaga.jp)

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