異例の抜擢、地元在住の演出家が劇場の館長に就任
京都の公立劇場「ロームシアター京都」(京都市左京区)の新しい館長に、京都在住の演出家・三浦基の就任が決定。その記者会見が1月16日、劇場のメインホール内でおこなわれた。
1973年生まれの三浦は、フランス留学を経て2001年頃から劇団「地点」で活動を開始。2005年に劇団ごと京都に移転した。
チェーホフやシェイクスピアなどの古典作品を、独特の言葉づかいや動きで新しく見せる舞台で注目を浴び、国内外で活躍しており、その実績と若さを買われて、白羽の矢が立ったという。
演出家が劇場の高いポストに就く場合、「芸術監督」になるのが通例。館長を打診されたことに対して三浦は、「正直、ちょっと驚きました。全国の公共ホールの方たちも、この人事に驚いているのでは」と素直にコメントした。
しかし、「海外ほど、日本ではまだ芸術監督制度が主流になっていない。だったら現場の人間が、いきなり館長になるのは面白いなと思いました」と、快諾したそう。
今後の方針として、「地元密着を本気で考えたい」と三浦。「ロームは十分世界的な視野の演目を提供してきていると思うので、もう少し地元の人が劇場に足を運びやすい企画や環境を考えたいし、特に地方都市ではそれが望まれている。すでに劇場でやっている子ども劇や若手育成のプログラムを拡張していくことを、まず考えたいです」と目標を語った。
また、「次年度(2021年)から、館長プロデュースとして地点とは違う形の演目を提供できたら」と演出家としても期待を見せた。三浦の館長就任日は、今年の4月1日からで、任期は2年間。
取材・文・写真/吉永美和子
(Lmaga.jp)