こたつ宴会に予約殺到、その理由は珍しさ?

ストーブやエアコン、床暖房など暖房器具の種類はさまざまだが、日本ならではの暖房器具として「こたつ」がある。今、そのこたつを囲めるカフェや宴会に多くの人が集まっているという。

◆こたつを設置することで客層に変化

こたつ席が人気の、大阪ステーションシティ・時空の広場にあるカフェ『バール・デルソーレ』(大阪市北区)。広場は吹き抜けで寒く、冬季は客足が鈍ることを打破するため、4年前からこたつを設置したそうだ。その結果、SNSを中心に話題となり、今ではこたつ目当てで来店する人も多いのだとか。

カフェでは、朝はこたつでコーヒーを飲む出勤前のサラリーマン、昼は「ちびまる子ちゃんの世界だ」と喜ぶ外国人観光客、おやつの時間には買い物途中に立ち寄るオバさま、そして夜は仕事帰りのOL・・・などさまざまな客層が「こたつ」でほっこり。「こたつから出たくない」と滞在時間が長くなり、追加オーダーも増える。吹きさらしのカフェなのに、常に席が埋まっている状態で客足も絶えない。

「こたつを置いたことで客足が増えたほか、客層がガラッと変わり、若い人の利用が圧倒的に増えました」と話すのは、店長の深山岳典さん。取材したこの日も若者たちがこたつでお茶を楽しむ様子が多く見られた。

同僚たちと来店していた会社員の男性・足立さん(22)は、「友だちのインスタのストーリーを見て知った。こたつがあるからここに来るようになった」と、足下を温めながらソフトクリームを食べるなど、こたつの醍醐味を存分に満喫。聞けば、グループ7名中こたつが家にあるのは1名だけだった。家にこたつがあるのはレアなことのようだ。

◆地上300mの「こたつ宴会」に予約殺到

大型商業ビル「あべのハルカス」(大阪市阿倍野区)58階の天空庭園で開催されているのは『かこむdeこたつ』。地上300mからの夜景を見ながら、「ハルカス300名物鯛だしおでん」や「三元もち豚のあったか柚子しゃぶ」といったホッカホカの食事が食べ放題、焼酎お湯割りやホットワインなどが飲み放題で楽しめる。地上よりも2~3度気温が低く、冬場は来場者の滞在時間が短いことから付加価値をつけるために2018年に始まり、予約が取れないほどの大ヒットを記録した。

今年は南側に8卓、西側に2卓とペアシートを1つ設置し、昨年より4卓増席して11月9日にスタート。初日から満席になる大盛況ぶりで、15日時点で623組1893人の予約が入っているという(2カ月前より予約可能)。

初日の9日にペアシートで豚しゃぶを楽しんでいた夫婦は、「家にこたつがないので、こたつというだけでもテンションが上がるし、やっぱり家にも欲しくなる。期間中にまた来たい」と絶賛。

この企画を担当するハルカス事業部の池口太三郎さんは、「お客さまとお話していても、家にこたつがないという方がとても多い。家でやることを外でやる珍しさだけでなく、こたつに入りたいから来るという方もいらっしゃいます」と話す。確かに、この日も取材に応えてくれた人3組6名中、こたつが家にあるのは1名だけだった。

◆こたつは「非日常体験」になっている?

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今回取材して見えたのは、「こたつ離れ」。かつては大抵の家庭にあったが、現代では家に洋室が多くなったことや、共働き家庭が増えたこともあってか、こたつを所持していない家庭が圧倒的に多く見受けられる。かくいう我が家もこたつがない。そのため、こたつに入ること自体が珍しく、ちょっとした「非日常的な体験」となってきているように感じる。しかし、わざわざお金を払ってでもこたつに入る人も多い様子を見ると、本当はこたつから離れたくないのが本音のようだ。

取材・写真/野村真帆

(Lmaga.jp)

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