詳細な絵コンテ、構想メモ・・・、ガンダムのアニメ監督が、自身の展覧会を語る

『機動戦士ガンダム』などの名作で絶大な人気を誇るアニメーション監督、富野由悠季(1941~)。彼の業績を回顧する世界初の展覧会が「兵庫県立美術館」(神戸市中央区)で12月22日までおこなわれている。

小中高校生時代の絵画や大学生時代の8ミリ映画、初めて演出を手掛けた『鉄腕アトム』に始まり、彼の名を不動にした代表作『機動戦士ガンダム』と『伝説巨神イデオン』、1970年代に手掛けた『海のトリトン』『勇者ライディーン』、『無敵超人ザンボット3』などの作品が続き、最後は現在も劇場版の制作が進む最新作『ガンダム Gのレコンギスタ』で幕を閉じる。

展示物は、富野自身が描いた絵画、絵コンテ、構想メモなどのテキストに加え、アニメーターやスタッフによるセル画、美術設定、キャラクター設定、イラスト、名場面を抜粋した映像などで、総数は約3000点も。また、映像をすべて見るには約4時間が必要で、その壮大な規模からも本展の特別さが伝わるだろう。同時に、アニメーション制作にどれだけ多大な労力とマンパワーが必要なのかも分かるはずだ。

内覧会に出席した富野は本展について「この展覧会を企画してくれた6つの美術館の学芸員に感謝しています。社交辞令ではありません。自分の仕事が場所によってこれだけの広がりを見せている、強度を持っているのだと、今は少しうぬぼれています」と話した。

また「展覧会のオファーは今まで全くありませんでした。長い間、アニメやマンガは美術館の対象だと思われていなかった。それが50年の時間をかけて成長したというのかな、若い世代の学芸員が活躍するようになって、美術館の文化のなかにアニメーションが入るようになった。それはすごく新しいことだと思う。アニメーターやデザイナーではなく、映画監督の展覧会というのも重要。コンセプトやテーマ、概念を提供する人がいるから作品が作れるということを、今回こういう形でアピールできた。今後、映画監督の志望者が増えるかもしれない、社会的認知が進むかもしれない。自分の展覧会がその礎になればうれしいです」とも。

近年、日本の美術館ではアニメ展が増えている。アニメが日本を代表する文化として認められた証しだろう。しかし、これほど大規模な展覧会は前代未聞だ。10年後、20年後も語り継がれるのではないか。アニメファンはもちろん、美術ファンも見逃してはならない。期間は12月22日まで、一般1400円。

取材・文/小吹隆文(美術ライター)

(Lmaga.jp)

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