名作ミュージカルの勢いを届ける、珠城りょうの月組公演が開幕

宝塚歌劇団月組による『ON THE TOWN』が、7月27日に「梅田芸術劇場メインホール」(大阪市北区)で開幕。1月の東京公演よりキャストの一部変更、女性3役の役替わりがあるなか、ダンスナンバーの多い高難度なブロードウェイ・ミュージカルを、月組生が個性を光らせ熱演した。

レナード・バーンスタイン(音楽)とジェローム・ロビンス(振付)が、2人の傑作『WEST SIDE STORY』を生み出す前に創作した今作は、名曲「ニューヨーク・ニューヨーク」の大群舞など、豊かな音楽性と娯楽性に溢れ、初演から70年以上経った今も色あせない。

24時間の上陸許可を与えられた海軍水兵3人が、ニューヨークでそれぞれ個性的な女性と出会い騒動を繰り広げる恋愛コメディ。月組トップスター・珠城りょうが演じるゲイビーは、地下鉄広告の中の「ミス・サブウェイ」ことアイヴィ・スミスに一目ぼれ。奥手な彼が仲間に鼓舞され、次第に男らしく積極的になっていく様が微笑ましい。大都会の雑踏を背景にしっとりと「孤独の街」を歌う場面では、戦地へ赴く水兵人生の刹那も表現した。

アイヴィ役のトップ娘役・美園(みその)さくらは、多くのナンバーで高い実力を発揮。珠城との熱い火花さえ見えるコニー・アイランドのダンス場面は見ものだった。

ゲイビーの友人、オジー役の鳳月 杏(ほうづき・あん)は、今作から古巣の月組へ組替え。昔から共演の多い珠城との絡みが注目だったが、後ろから抱きついてじゃれるなど息ぴったり。ワイルドな色気と人情味も巧みに見せた。

そのオジーとカップルになる人類学者のクレアは、初日の舞台では夢奈瑠音(ゆめな・るね)。ダイナミックな演技は男役ならではで、華麗な娘役・海乃美月(8月2日~9日)との違いが楽しみだ。

チップを演じた暁 千星(あかつき・ちせい)の子犬のような愛らしさとふと見せる男気、女性タクシードライバーのヒルディ役(8月2日~9日は夢奈瑠音)白雪さち花の猪突猛進な魅力。さらに感情のふり幅で笑いを誘う専科の英真なおき、アイヴィの先生であるマダム・ディリーを快演した夏月 都(かげつ・みやこ)など、下級生に至るまで役の色付けが面白い。

カーテンコールでは大阪公演限定の客席降りで、広い劇場内が一体となり大いに盛り上がった。公演は8月12日まで。

取材・文/小野寺亜紀

(Lmaga.jp)

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