次世代型の女性シンガーソングライター・竹内アンナ「とにかく面白いことしたい」

巧みにして多彩なギターワークと、透明感のある歌声で高い音楽性を示し、2018年8月のメジャーデビュー前から米国・テキサス州の音楽フェス『SXSW』に出演するなど、注目を集めてきた20歳の竹内アンナ。幼い頃から母親の影響で新旧の洋楽・邦楽に触れ、中学1年生の頃からアコースティック・ギターを始めて才能を開花させてきた彼女だが、その2作目となるEP『at TWO』は、前作以上にダンサブルな要素を強めたグルーヴィーな仕上がりで、洋楽・邦楽の垣根を超える1枚に。京都在住の次世代型シンガーソングライターに話を訊いた。

取材/吉本秀純 写真/本郷淳三

「ジョン・メイヤーみたいに弾けるようになりたい」(竹内アンナ)

──育ったのは京都だけど、生まれたのはロサンゼルスなんですよね?

そうですね。親の仕事の関係で、ロサンゼルスには5歳まで住んでいました。なので、あまり何も覚えてないですけど(笑)。

──でも、幼い頃からご両親の影響で洋楽をよく聴いていたとか。

母がすごく音楽が好きな人で。邦楽・洋楽も年代もジャンルも問わず、お母さんが好きな音楽だけを集めたプレイリストを延々と車のなかで流していて、私はそれを聴いて育ってきたんです。なかでも、アース・ウィンド&ファイアーの『セプテンバー』が物心がついた頃から大好きで。

──『セプテンバー』、時代やジャンルに関係なくイイ曲ですよね。邦楽よりも洋楽派だった?

割合的には洋楽の方が多かったですし、小学校6年生くらいまでは、「私は洋楽以外は聴きません」みたいな、ちょっと生意気なことも言っていましたね(笑)。ただ、その後6年生のときにバンプ・オブ・チキンに出会って衝撃を受けて、「なんで今まで私はJポップをちゃんと聴いてこなかったんだろう」と。そこからまた聴く音楽の幅が広がっていきました。と同時に、それまでは音楽を聴く側だったのが、自分も演る側に立ってみたいなと思うキッカケにもなりました。

──最近の若い子はあまり洋楽を聴かないと言われて久しいですけど、周りの同級生のなかでは珍しいタイプだったのでは?

いや、結構聴いてる子は多かったです。ブルーノ・マーズとかテイラー・スウィフトとか、メジャーなヒット曲を聴く子は周りにいたので、友だちとそういう話をいっぱいしていました。ただ、昔の音楽を聴いている子は少なかったので、熱く語れる友だちを作れたらなと思っていましたね。

──で、中学1年生のときにアコースティック・ギターを弾き始めて。

最初はギターをやるつもりで始めて、歌うつもりは全然なかったんです。でも、中3のときに「歌ってみたら?」と言われたのをキッカケに、ライブハウスに立つことになって。そこで、せっかくならカバー曲じゃなくてオリジナル曲でやってみたいと思って、初めて作詞・作曲に挑戦したんです。とりあえず右も左もわからないまま、知っているコードでシンプルに作って・・・。そのときにできたのが、1枚目のデビューEPに入っている『Ordinary days』だったんです。

──あ、あの曲は中3で作った曲だったんですか?

そうです。自分の言いたかったこととかを曲にして、まったく知らない誰かに聴いてもらうってすごく緊張するし、怖いことだけど、それがちゃんと伝わった瞬間はすごく気持ちよくて。漠然とだけど、楽しかったなという感覚だけが終わった後に残って、「あぁ、私はコレをやりたいんだ」と思えたんです。そこから、本格的にライブハウスやストリート・ライブに出演したり、オーディションを受けたりして。高校では部活にも入らずに、音楽に専念して。

──音楽的な部分では、その高校生のときに聴いたジョン・メイヤーから受けた影響がかなり大きかったそうですけど。

すごく大きかったですね。おそらくジョンがいなかったら、ギター・プレイに関してこんなに頑張れてなかっただろうなと。ジョンが今の私と同じくらいの歳(20歳)のときに、インストア・ライブをやっている映像を観たのがキッカケだったんですけど、ギターが恐ろしいくらいうまい上に、声も曲もいいし、加えてルックスも良くて、すべてを持っている人だなと。それを観たとき、この人みたいに弾けるようになりたいと思って。それまで以上にギターにのめり込みました。

──ジョン・メイヤーのように弾きながら歌うとなると、あらゆるジャンルのギター・スタイルをマスターする必要があるし、ハードルは高いですよね。

とにかく面白いことをしたいな、という気持ちが強くて。例えば、コレとコレは普段は合わないけど、合わないからこそやってみたら面白いかも、みたいなことはよく考えますね。今回の2枚目のEP『at TWO』で、エレクトロとアコースティックを合わせたサウンドをやっているのもそうだし、ジョンの影響でスラッピング(ギターのプレイ・スタイルで、指で弦を叩く奏法)などを少し取り入れているのも、あまり女の子でそういうのをやっているのを見たことがないから、じゃあ自分でやってみようというか。ワクワクすることを、これからもやっていけたらなと思っています。

「この半年でインプットや聴く曲の幅も広がった」(竹内アンナ)

──2枚目となるEP『at TWO』は、ラップ的なアプローチやエレクトロなダンス・ミュージックの要素を取り入れた楽曲もあって、全体的に前作以上にアッパーな仕上がりです。

1曲1曲でジャンルやサウンド感もバラバラなものを詰め込めたし、1枚目とはまた違う竹内アンナのサウンド感を楽しんでもらえたらなと思って作りました。

──1曲目に収録されている『TOKYO NITE』のようなラップは、以前からやってみたかったことですか?

前作でTLCの『No Scrubs』をカバーしたときに、初めてラップをやることになって。母がTLCをすごく好きだったから「それ、ラップじゃなくてお経だよ・・・」と言われるくらい、最初はできなくて(笑)。ひたすら原曲を聴いて、歌詞も読み込んで、ラップを自分のなかにインプットして、今回の曲ではこの感情を表現するにはきっと言葉を畳みかける方がいいんだろうなと、新しい表現方法のひとつとしてラップを入れてみた感じですね。この曲は、これから新生活を始める人とか、新しいことにチャレンジする人に届けばいいなと。

──2曲目の『Free! Free! Free!』は、さっきもお話しに出たように、アコースティックギター+エレクトロな新境地で。

すごく振り切った曲になりましたね。もともとエレクトロな音楽はよく聴いていたんですけど、実際に曲にすることはなかったので、今回は初めてトラックメイカーの方と一緒に制作しました。エレクトロな楽曲は、アコースティックな楽器が入ってくるとモタッとしてしまう感じがあって難しいんですけど、どちらもいいバランスで前に出せているんじゃないかなと思います。

──3曲目の『ベチュニアの花』は、逆にギターと歌だけで聴かせるシンプルな曲です。

中1からギターを弾き始めて今年で8年目くらいなんですけど、この曲では今までにインプットしてきたさまざまなエッセンスを出せているかなと。

──そして、4曲目の『Sweet Child O' Mine』はガンズ・アンド・ローゼズの名曲カバーですが、この曲は2018年に『SXSW』に出演した後に米国の7都市を回るツアーで演奏したときにも各所でかなり反応がよかったそうですね。

初めはライトな気持ちで、みんな知っているだろうし、やってみようかみたいな感じだったんですけど、いざやってみるとバカウケでした(笑)。サビの部分とか、みんな私よりも大きな声で大合唱していて、会場にいた若い人からオトナの方までみんなが一緒になって歌っていたから、改めてこの曲が持つパワーを感じましたね。その経験もあって、ぜひもう一度歌いたいなということでカバーさせてもらいました。

──AOR的なテイストも感じられた1枚目とは、また違った顔をみせた全4曲になっています。

1枚目をリリースした後、いろんな方にお会いする機会が増えて、「アンナちゃん、それを聴くならコレも聴いてみなよ」という感じで新しい曲をオススメしてもらうことも多くて、この半年の間にインプットや聴く曲の幅も広がったことで、やりたいこともたくさん増えたんです。1枚目は今までにずっとやりたかったことを形にした作品でしたけど、今回の2枚目はその半年という短いスパンのなかで出てきた新しいアイデアをドンと詰め込めたような感じです。

──ちなみに、最近出合った音楽で特に印象深かったものは?

最近だと、ちょうど東京にいたときにライブを観に行ったジ・インターネットとか、トム・ミッシュもすごく好きですね。私と年齢が近いのに、「こんなことまでできるんだ!」という才能に溢れたアーティストがたくさんいるので、そういう人たちから刺激をたくさんもらっています。

──そのあたりからの影響がダイレクトに反映されてくる今後の動きも楽しみですが、直近では4月7日に心斎橋のライブハウス「Music Club JANUS」(大阪市中央区)にてワンマン公演が予定されています(東京は12日に「O-nest」、25日に「SPACE ODD」)。

今回は初めて、フルバンド編成でお届けします。ご一緒させていただくミュージシャンもみんな素晴らしい方ばかりなので(ベース・名村武、ギター・谷川正憲、キーボード・渡辺シュンスケ、ドラム・岡本啓佑)、前回のワンマンからさらにステップアップしたライブを楽しんでもらえたらと思っています。

(Lmaga.jp)

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