ホストクラブで会えるアイドル・関西スワン「俺ら5人で成り上がっていきたい」
昨今のアイドルといえば「会いに行けるアイドル」がほとんど。そんななかで投資額次第というアイドルがいる。関西の人気ホストたちで結成され、TRFのDJ KOOプロデュースで2018年にデビューした「関西スワン」だ。
関西ホストの成り上がりファッション雑誌『SWAN』が企画し、兄貴肌なリーダー・なつきを筆頭に、月2000万のドS王子・カイト、元消防士の経歴を持つ月(ヒカリ)、アガリ症の大也(ダイヤ)、そして関西ホスト300人のなかからメンバーを選考するオーディションで選ばれた輝(ヒカル)の5人で結成。1stシングル『ギンギラギーン★彡』をエイベックスからリリースし、SNSでじわじわと話題が拡大している。そこで今回は、関西スワンとしての活動について訊きつつ、売れっ子ホストである5人の本音にも迫った。
取材・文/田辺ユウキ 写真/森好弘
「関西スワンを知らんホストは、よっぽど嫌いなんやろうな(笑)」
──関西スワンというアイドル活動を始めて、今まで以上に人前に立つようになったと思いますが、ホストだけやっていたときは自由にできたけど、制限されるようになったことはありますか?
カイト「お酒はほとんど飲まんようになりましたね。飲み過ぎると人に迷惑をかけちゃってたので。あと、イライラしたり怒ったりもしない。揉め事を起こしちゃうと、これまで以上にたくさんの人に迷惑がかかりますし」
月「僕はホストとして店にでているとき、立ち振る舞い、お客さんとの接し方など、自分で言うのも何ですがアイドル感を意識しています。せっかくやるからには、自分のポジションをちゃんと考えて振る舞いたい。今までそういうことを意識してなかったから」
なつき「僕もカイちゃんと同じく、お酒ですね。酔っ払った勢いで何かするとか、特に女性関係に気をつけるようになりました(笑)。ミナミ(※)もあんまり歩かなくなったし、そもそも外で誰かと会うことがほとんどなくなったかな」
(※大阪の道頓堀から心斎橋周辺の繁華街。特に宗右衛門町はホストクラブが軒並み集まる)
輝「自分はホスト歴が短いから、アイドル活動とバランスをとって正しくできているのかどうか、まだ分からないんです。でも、身だしなみをきっちりするようになりました。人前に立つので少しでも綺麗に見せたい。アイドルをやる前は妥協しているところもあって、『すっぴんでいいや』ってなってましたし」
大也「僕は外に出歩くときが1番気を遣いますね。誰に見られているかわからないのでソワソワしちゃいます。関西スワンになる前の僕を知っている子には『あんた、イキりすぎやろ!』って言われるけど、逆に『まあ、関西スワンだから仕方ない』と理解してくれる子もいて」
──ちなみに、ホスト仲間などミナミの夜の街での反応はどんな感じですか?
大也「ネガティブな意見はそれほど多くないよな」
カイト「ミナミのなかでは『知らん方がおかしい』という感覚やんな。宣伝もたくさんしていただいたし、それで『あいつらのこと、知らん』という人は、俺らのことをよっぽど嫌いなんやろうなって(笑)。特にホストは噂が好きなんで、関西スワンを知らないことはないはず」
月「ほんまに情報のアンテナが低いのか、嫌いかのどちらかよな」
カイト「ホストはプライドがみんな高いから、俺らを認めたくないというタイプもいるとは思う」
──ホストって噂話が好きなんですね。
なつき「好きですよ! 僕は、雑誌の撮影でもいろんな人と一緒になるし、そこで『あ、このホストさん知ってる』『めっちゃ売り上げがあがっていて有名な人や』ってなる。そういう人と情報交換をしているうちに、ミナミに知れ渡っていくんです。僕自身は噂話を聞いたら『よし、自分も頑張ろう』ってなる。ホストはとにかく、売れたら噂される。売れていない子の噂話をしてもオモロないもん」
──関西スワンのメンバーの噂話は、グループ活動前からまわっていましたか。
なつき「カイちゃんがめっちゃ売れてるという話は特によく耳にしましたね。ホスト歴も長くて人気もあって。ミナミのホストのなかでも、噂がめっちゃまわっていました」
大也「ミナミの街って意外と狭いよな。ちょっとしたことでも、すぐに話題になってしまう」
「ホストのイメージを左右するのは、僕たち関西スワンなのかもしれん」
──関西スワンをきっかけにホストに興味を持った人も少なくはないと思います。そこで本業について伺いたいです。みなさんは各店で大人気ですけど、そもそも、女性に対してどういう癒やしを与えているんですか?
大也「もちろん女の子のタイプによるんですが、でもベースとして『普通のことはしない』があります。まず、お店に来てくれた子は、たくさん褒めるところを見つけるようにしてる。その日の髪型、服装はもちろんですけど、それをちゃんと伝えてあげるんです」
なつき「僕は『ザ・大阪のホスト』で、とにかくいっぱい喋るし、めっちゃ酒も飲むし、女の子も『なっちゃん、楽しくやろうや』ってなりますね。お客さんをちゃんと見て、『この子がこんな感じか』と見極めて、話しやすい雰囲気を作ることを心がけてる」
──癒やしというよりも、どう楽しませるかってことですね。
なつき「ホスト遊びって、安くも遊べますけどとことん楽しもうと思うと値段が大変なことになるときもあるじゃないですか。だから、大也も話したように、やっぱり普通じゃないことをやってあげなきゃいけない」
輝「僕はどちらかというと、女の子の話をきっちり聞くようにしますね。自分のことを話したい子も多いですし。聞き手に回ることで相手を癒やせているのかもしれんけど、逆にグイグイと話題を作って話すのがまだまだなので、そこが今の課題」
月「女の子は十人十色。静かに飲みたい人もいればワイワイしたい人もいる。だから常に相手をよく見て、何を求めているかその場に応じて動けるように意識しますね。ただ一番に考えるのは、『僕だったら、こういうことをしてほしい』ってことですね」
なつき「今日の月の答え、ちょっと優等生すぎへん!?」
月「(笑)。僕はおもしろい話ができるタイプではないし、あとホストは接客業ではなく、相手がうれしいことをするものだと思っているので」
カイト「とりあえず酒を飲んで楽しくしたい。嫌なことがあったら、その場では全部すっきり忘れるのが一番。安くないお金を払って、病みに来る必要はないですよね。楽しいことで夢中にさせてあげたい。それで僕を選んでくれているなら、とことん『俺を選んで正解やな』と思わせたいですね」
──本業とアイドルの両輪で今後も活動していかれますが、関西スワンとして皆さんが目指すテッペンってどのあたりですか?
輝「ホストをやりながらアイドルをやっているのは異色やと思うし、やるからには、Mステ(ミュージックステーション)いっときますか!」
月「僕もテレビが1つの目標。夜の業界ではそれなりに名前を知っていただいているけど、一般的な認知はもちろんない。僕らの活動をテレビまで広げて、おじいちゃん、おばあちゃんから小さい子まで楽しんでもらいたいです。『あ、関西スワンって聞いたことがある』という風になってほしいんですよね」
──リリースイベントには、小さなお子さんも見に来ていましたよね。子どもはホストクラブには当然来ないですし、仕事上ではまず出会わない年齢のお客さんですよね。
なつき「ホストという仕事が小さい子にも理解され始めているのは、まさに時代の流れだと思うんです。現役ホストのアイドルグループとして、良いか悪いのかはわかりませんが、ちゃんと影響を与えることができているんだという実感があります」
カイト「確かにホストは事件があったりもするし、危ないイメージを持たれる。でも、変えていけるように努力していくべき。そのイメージを良くしたり、悪くしたりするのは、今は僕たち関西スワンなのかもしれん」
月「そうやな。僕らの行動ひとつが、『あ、やっぱりホストだな』になるのか、または『ホストなのに意外だな』につながるのか。それは今後のやり方次第。子どもが見に来てくれたとき、それを意識し始めましたね。みんなに見られているんだなって」
──子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで幅広い層に受け入れられつつも、やっぱり主戦場は夜の街ですよね。
なつき「もちろんです。日本のホスト界のテッペンは歌舞伎町。でも歌舞伎町のお客さんが、関西スワンを目当てにミナミに来てくれるようになるのが、僕のゴール。アイドルとしても有名になりたいし、ホストとしてももっと売れたい」
大也「本業はホストやから、そこでまずもっと売れたい。そのきっかけとして関西スワンがあっても良いと思う。なつきが言うように、トップは歌舞伎町。なんとか、そこを上回るのが目標。そのために関西スワンを有名にしたいし、大きい場所で単独ライブもしたいな」
カイト「僕はホストと関西スワンは別ものやと考えてて。ホストは売り上げと一緒に知名度も上がっていくけど、関西スワンはどれだけ一般の人に浸透できるかが勝負。『関西スワンの名前は知っている』って誰もが言える状況にしていけるように、もっと俺ら5人で成り上がっていきたいですね」
(Lmaga.jp)