100%の愛に満ちた宝塚歌劇宙組『WEST SIDE STORY』開幕

宝塚歌劇団宙組による『WEST SIDE STORY』が、7月24日に「梅田芸術劇場メインホール」(大阪市北区)で開幕。1月の東京公演とは変更になったキャストを含む全員の団結力と、生オーケストラの迫力で「ミュージカルの金字塔」の魅力を如実に伝えた。

「ロミオとジュリエット」をベースにした本作は、1957年にブロードウェイで初演、1968年に宝塚歌劇団が日本初上演し芸術祭大賞を受賞。3度目の宝塚再演となった今回も、ブロードウェイからスタッフを招きオリジナルをしっかり踏襲した宝塚版となっている。

異なる人種の移民集団であるジェッツとシャークスの対立、そのなかで運命的に出会ったトニーとマリアの愛が、レナード・バーンスタインの音楽と、緻密に計算された高度なダンスで綴られる。宙組出演者は指先まで意識を向けたキレのある踊りや熱のこもった歌、2メートルほどの金網を軽々と乗り越える演出などで、ダイナミックに若者のエネルギーを表現する。

トニー役は、1月に本作東京公演で宙組トップお披露目を果たした真風涼帆。スマートな役柄が似合う生粋の男役・真風が、瞳をキラキラさせ「俺は恋してるんだ!」と純粋な想いを何度も吐露する姿が新鮮。宙組トップ娘役の星風まどかは、人として大きな成長を遂げるマリアをラストまで熱演。たった2日の間に起こる愛の軌跡と固い絆を、2人が純度100%で届け、「隔たりなく愛し合える世界」という本作のメッセージが揺るぎないものとなった。

シャークスのリーダー・ベルナルド役の愛月ひかるは、冷静な凄みと芯にある温かさが巧いバランスで共存。彼の恋人・アニータは、男役の桜木みなとが挑戦し、姉御肌的な力強い役作りは、これまでのどのアニータ像とも違う驚きがある。深い情熱を感じさせたリフ役・澄輝さやと、涙の芝居を見せたドク役・専科の英真なおきなど、出演者それぞれが役を生き抜いている。

カーテンコールの振付と宙組ならではのコーラス力も感動的。初日終演後はスタンディングオベーションとなり、真風は「今を生きることの大切さを感じる作品に出合え、幸せに思います。この作品の持つ力を最大限にお伝えできるよう、千穐楽まで務めてまいります」と感無量の様子で挨拶した。公演は8月9日まで。

取材・文/小野寺亜紀

(Lmaga.jp)

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