宝塚歌劇月組・月城かなと、優しさ滲ませ作家スコット・フィッツジェラルドを熱演

宝塚歌劇団きっての美貌を誇る月組男役スター・月城(つきしろ)かなと。「梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ」(大阪市北区)で初主演を果たす、『THE LAST PARTY~S.Fitzgerald’s last day~』が6月30日に開幕した。

本作は「華麗なるギャツビー」を執筆した作家、スコット・フィッツジェラルドの波乱の人生を描くミュージカルで、2004年初演。新曲などを加えブラッシュアップした再演も、17名という少人数のキャスト、生演奏のライブ感を生かした演劇的面白さを踏襲する形で届けられた。

冒頭でスコットの人生の終焉を丁寧に語るのは、月城が扮した「役者」が演じるスコット。貧しい境遇からジャズエイジを象徴する偉大な作家となるも、妻ゼルダとの確執、芸術と生活の狭間で苦悩。そんなスコットを熱演しつつ、どこか俯瞰している難しい役どころだ。月城は生来の芝居心で実にバランス良く、彼の人生に敬意を込め演じ切った。ギャツビーのように一人の女性を愛し抜くロマンと優しさが根底にある月城スコット。作家としての野心を燃やし、ときに破滅的な色を宿しながらも、1人歌い上げるシーンまで温かな人間性が溢れ出る。

妻ゼルダを演じた海乃美月(うみの・みつき)は、精神が病んでいく様や夫への変わらぬ想いを繊細に表現。戦争を経験しスケールのある作品を発表し続ける、褐色の肌のアーネスト・ヘミングウェイを演じた暁 千星(あかつき・ちせい)の骨太な存在感も光る。

スコットを献身的に支えるシーラの憧花(とうか)ゆりの、編集長マックスの悠真 倫(ゆうま・りん)、秘書の夏月 都(かげつ・みやこ)、スコットの背中を図らずも押す学生役の風間柚乃(かざま・ゆの)など、芝居巧者が揃った公演は、命について考える余韻まで与えた。

月城は初日の挨拶で、「舞台を観終えて感じられるのは愛、夢、それとも人生の無情さでしょうか?」と落ち着いて語りかけ、「たくさんの感情を届けられるよう千穐楽まで精一杯演じていきたいです」と笑顔を見せた。公演は7月8日まで、チケットは全公演完売。

取材・文/小野寺亜紀

(Lmaga.jp)

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