神戸発、横尾忠則が仕掛けた冥土旅行展

横尾忠則(美術家、グラフィックデザイナー)の膨大な作品と資料を所蔵し、そのコレクションから多彩な企画展を紡ぎ出している「横尾忠則現代美術館」(神戸市灘区)。 2月24日から始まる『横尾忠則の冥土旅行』では、「死後の世界」という根源的なテーマを取り上げます。

人は死んだらどこに行くのか。それは人間が遥か昔から抱き、今後も決して解明されない永遠の謎です。それゆえ古今東西のあらゆる文化で「死」をテーマにした芸術や哲学が生み出されてきました。横尾もその一人です。彼はグラフィックデザイナーとして活躍した1960年代から現在まで、一貫して「死後の世界」に関心を持ち続けてきたのです。本展では彼が手掛けた作品を通して、一種の冥土旅行を体験できます。

展覧会は4つのセクションで構成されています。「神曲」は、ダンテの『神曲』にちなんだ作品が並ぶコーナー。横尾が1970年に雑誌『平凡パンチ』の企画で撮影した、19人の女性たちの集団ヌード写真を、壁面サイズに引き伸ばして展示します。また「赤」は、1996年から始まる「赤のシリーズ」をはじめとする絵画約40点が並ぶコーナーです。横尾にとって「赤」は、少年時代に見た空襲で真っ赤に染まった空(=死)や、生れ落ちる赤子(=生)を暗示しており、生死が表裏一体となった彼の作品世界を象徴する色なのです。

ほかには、人物の後ろ姿を描いた「Back of Head」と、昨年から今年にかけて集中的に制作した「謎の女」のシリーズが紹介されます。横尾の謎めいた作品群を通して、死後の世界、あるいは死と生について、自分なりに考えてみるのはいかがでしょうか。いざ、冥土旅行へ!

文/小吹隆文(美術ライター)

(Lmaga.jp)

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