斉藤和義、デビュー25周年彩る全国ロングツアー

2017年にデビュー25周年のアニバーサリーイヤーを迎えた斉藤和義が、3月14日に19枚目のオリジナルアルバム『Toy Blood Music』をリリース。それを携え、3月30日から4カ月間にわたって全国41都市47公演に及ぶホールツアーを開催する。

卓越したギターテクニックと飄々としたヴォーカル、親しみやすいメロディで自然体のラブソングやメッセージソングを歌ってきた斉藤和義。デビュー以来、いわゆるメガヒットこそないものの一貫してメジャーレーベルに属し、高い知名度と楽曲クオリティをキープ・オンしてきたことは、変遷の激しいシーンでは特筆すべき存在と言えるだろう。企業タイアップも多く手掛けながらも商業的な匂いを感じさせない、絶妙なポジショニングがまたファンの心をくすぐる部分であり、キャリアの長さに反して常にフレッシュであり続けられる由縁なのかもしれない。

自然体の中にもワイルドな色気を漂わせる風貌で女性ファンも多い彼だが、60~70年代のロックをはじめとするマニアックな音楽性。特にすべての楽器をひとりで演奏したり、海外の凄腕ミュージシャンと共演したり、サウンド面への強いこだわりには、音楽マニアの男性から支持が厚い。

近年では、3.11後の状況への怒りをYou Tubeという場でリアルタイムでストレートに放った「ずっとウソだった」事件と、その怒りを音楽へ昇華したアルバム『45 STONE』も印象深い。変わりゆく時代の中でどう音楽と関わり、過酷な現実の前で何を歌ってゆくか──というテーマに真摯に向き合い、実践し続ける。無骨な精神と豊かな音楽的引き出しをもつ、希有なシンガーソングライターの軌跡を、この機会にじっくりと味わいたい。

関西では「神戸国際会館こくさいホール」「大阪フェスティバルホール」など、計5公演。チケットは2月24日から発売される(和歌山・奈良は3月17日)。

文/井口啓子

(Lmaga.jp)

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