名コレクターが厳選、大阪で中国陶磁展
世界で最も著名な美術コレクターのひとり、伊勢彦信氏。彼のコレクションのうち、中国陶磁の名品を紹介する国際巡回展『イセコレクション-世界を魅了した中国陶磁』が、9月23日から「大阪市立東洋陶磁美術館」(大阪市北区)で始まります。
伊勢氏は鶏卵の販売や加工卵の製造を行うイセグループの会長であり、西欧近代絵画、日本画、中国陶磁などの優れた美術品を収集していることで知られています。コレクターの中には作品を溜め込むことに専心する人もいますが、彼は積極的に自分のコレクションを公開しており、これまでに何度も国内外で展覧会を開催してきました。
本展は、フランス・パリの「ギメ国立東洋美術館(以下、ギメ美術館)」と「大阪市立東洋陶磁美術館」による国際美術展です。先に行われたギメ美術館での展示では、「日本人の美意識によって選び抜かれた中国陶磁」として注目を集めました。古来、日本人は中国陶磁を「唐物」として珍重し、中国文化に深い理解とリスペクトを示してきました。その一方、「茶の湯」などを通して独自の文化、美意識を醸成してきた歴史もあり、その両面と現代のセンスを併せ持つことが、イセコレクションの特徴なのです。
ギメ美術館では、戦国時代から清時代までの中国陶磁の名品74点が展示されましたが、帰国展となる今回は、さらに重要文化財2点を加えた88点を紹介します。中国陶磁の名品展としてはもちろん、現代を代表する美術コレクターの審美眼がいかなるものかを知る上でも、見逃せない機会となるでしょう。料金は一般900円。
文/小吹隆文(美術ライター)
(Lmaga.jp)