ブルーズギタリスト・Rei「驚きを大切に」作った新作『CRY』

国内外のブルーズ~ロック・フリークも唸らせる卓越したギター・プレイと、柔軟なソングライティング力の高さで、日本だけでなく海外の大型フェスにも出演して高い評価を集め続けているRei。2015年の1stミニアルバム『BLU』リリース以降、立て続けに2枚のミニアルバムをリリース。多彩な音楽性を発揮してきた93年生まれの彼女だが、その最新作『CRY』は、スウィンギーな冒頭曲から意表を突く新境地の連続に。7月8日にはフランスの大型野外フェス『Les Eurockeennes』(1万8千人収容)にも出演し、14日からは凱旋的に東名阪ツアーをおこなった彼女に話を聞いた。

写真/Ayami

──生まれたのは伊丹なんですよね。

そうです。その後、幼少期をフランスやニューヨークで過ごしました。帰国した後は大阪に住んでいました。

──4歳からクラシックギターを始めて、10歳の頃にはバンドを組んでクリームやレッド・ツェッぺリンなどの曲を演奏していたそうですが。クリームなどは最初に聴いたときからカッコいいと感じたんですか?

クリームは10歳くらいのときに聴いて、直感的にカッコいいと思いました。その頃は60'sのホワイト・ブルーズなどをよく聴いていましたし、特に古いものだからという先入観もなく、耳心地がイイから聴いていましたね。

──1stミニアルバム『BLU』(2015年2月)リリース後は『UNO』(2015年11月)、『ORB』(2016年9月)といずれも7曲入りのミニ・アルバムを3部作的に発表してきましたが、最初からトリロジー的な形で作品を作っていこうと考えていたんですか?

3部作にしようということだけは決めてました。最初の『BLU』を作り出した頃は20歳前後だったので、これから自分の音楽的な価値観もきっとどんどん変わっていくんだろうなと思えたし、その変わっていく様子を3部作という形でそのまま作品に昇華できないかなという想いがあったんです。

──確かに、1枚1枚でアプローチも違いますよね。

いつも作品を作るときには、聴いていただく人に対して「驚き」を大切にしていて、自分自身も作曲をルーティン・ワークにしないというか。いろんな楽器を使ってみたり、絵画を観に行ってそれをテーマに曲を作ってみたりとか、常にアプローチを変えながらみんなをどうやって驚かせられるだろうという気持ちで作っていました。もがきも感じられるけど、情熱も感じられる3作になったと思います。

──『BLU』はペトロールズの長岡亮介さんをプロデューサーに迎えてベーシックな魅力が詰まった作品でしたが、次のセルフ・プロデュースの『UNO』は打ち込みも使いながらひとりでできる世界を追求していたりと、1枚ごとにカラーが違う「驚き」がありました。

ミュージシャンとして長岡さんと対等にアイデアを出し合いながら一緒に作ったという感覚でした。『UNO』はよりミニマル(最小限)というか、ミニマルなモノが生み出すマキシマムというテーマがあって、少ない音数でもすごく大きな世界をきっと表現できるんじゃないかみたいな想いがあって作った作品でした。3枚目の『ORB』はより広がりが出てきた、と言っていただくことが多かったです。

「感情豊かに生きていたい」という想いを表現した新作『CRY』

──そんな3部作を経て、7月5日には4曲入りの新作『CRY』(写真や自身の手によるイラストを収めた32pのミュージックブック付)がリリースされましたが、1曲目『Tumblin’』から重厚なホーン・セクションがジャジーに絡むジプシー・スウィング調で意表を突かれました。

この曲も「驚き」を大切に、そしてどういう風に聴く人を楽しく裏切ることができるかな?という気持ちで作りました。ジプシー・ジャズやロカビリー、ロックンロールなど、いろんなジャンルの素敵なところを取り入れて作れた曲だと思います。

──続く3曲も、70年代前半頃のファンキーなローリング・ストーンズを思わせるギター・リフに電話を模した電子音がポップに絡む『MOSHI MOSHI』や、グルーヴィーなアコースティック・ギターも心地よい『Don’t Wanna Kill My Soul』など、それぞれに異なるベクトルの新境地を示しているなと。

4曲とも全然キャラクターの異なる作品にしたいな、というのは思いながら制作していました。そして、これまでのミニアルバムはどれも7曲入りだったんですけど、少ない曲数でパッケージするからこそ伝わるそれぞれの味わいを引き出したくて、初めて4曲入りの作品となりました。例えば、チョコレートを7個入りのアソートでプレゼントするのと、ひと粒しか入らないジュエリー・ボックスに入れて差し上げるのとでは、きっと味も変わって感じるのと同じように。

──一方で歌詞の面では、Reiさんと同世代くらいの女性が曲ごとに違うシチュエーションで描かれていて、それぞれの背中を押すような内容になっているのかなと思いましたが。

今回は『CRY』という題名が付いているように、同じテーマで作ったところがあります。表現の仕方はそれぞれに違うんですけど『感情豊かに生きていたい』という想いを軸に書き上げました。CRYという言葉は『泣く』という意味がありますが、泣くのは悲しいときばかりではないことにあるとき気付いたんです。嬉しいときに流れる涙もあるし、感情があふれ出たときに、人は泣くんだ、と。なので、日々のしがらみのなかで、なかなか自己表現ができないシチュエーションもあるけど、感情がある限りはそれを表に出して開放しながら生きていたいという想いがあって『CRY』という題名を付けました。歌詞もそれをテーマに書いたものになっています。

──そうですね。4曲とも単に悲しいだけじゃなくて、社会生活の中で抑圧されていたり、恋愛で停滞していたりと様々な『CRY』が描かれています。

はい。いろんな場面で感情があふれ出る瞬間を守りたい、という願いを込めました。

──そんなネクスト・ステップを示した新作も携えながら、8月17日には「なんばHatch」でのサウンドクリエイターの夏休みライブ、9月1日には「umeda TRAD」でAnlyさんとスペシャルライブ・・・など関西の出演が決まっています。

新作『CRY』の収録曲ももちろんフィーチャーされると思いますし、『感情豊かに生きていたい』という作品のテーマもあったので、お客さん自身も会場で心を解放して、スカッとした気持ちになっていただけるようなライブにしたいと思っています!

(Lmaga.jp)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

関西最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(芸能)

    話題の写真ランキング

    デイリーおすすめアイテム

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス