混雑必至の大阪「バベル展」 どう見るのが正解?

オランダの「ボイマンス美術館」から、ピーテル・ブリューゲル1世の傑作絵画『バベルの塔』をはじめとする16世紀ネーデルラント美術の名品約90点が来日。『バベルの塔』展と題した展覧会が、7月18日より「国立国際美術館」(大阪市北区)で始まりました。

地平線を見渡す広大な空間を背景に、巨大な塔を画面いっぱいに描いた「バベルの塔」。細部まで緻密に描かれたその情景には、一節によると1400人もの人間が描かれています。尋常ではない細密描写と圧倒的なスケールで観客を虜にする本作は、まさに本展の目玉です。しかしこの作品、実はとても小さいのです。天地約50㎝、左右約75㎝しかありません。お出かけの際はオペラグラスか単眼鏡を持参するようおすすめします。また本作の周辺には、作品の部分を拡大した解説パネルや、3倍に拡大した複製画、作品の秘密に迫る映像もあります。実作品を見るときは全体像や雰囲気を掴むことに集中して、細部は資料で確認するのが現実的でしょう。

なお、本展のもうひとつの目玉であるヒエロニムス・ボスの「放浪者(行商人)」と「聖クリストフォロス」にも丁寧な解説パネルが付いているほか、館内のいたる所に同様のパネルや映像があり、美術の初心者でも安心して楽しめます。

そして、もうひとつ見逃せないのは、本展の前半を飾る木彫作品や宗教画です。「特に木彫作品は、ボイマンス美術館側から強いプッシュがありました。16世紀ネーデルラント美術を理解するうえで、それだけ重要な作品ということでしょう」と、「国立国際美術館」主任研究員の安來正博さん。ついつい『バベルの塔』にだけ目がいきがちな本展ですが、視野を広く取ればより多彩な感動が得られそうです。

最後に、本展はかなりの混雑が予想されます。少しでもゆったり見たい方は、会期前半の平日朝イチか閉館間際、金・土曜の夜間開館(夜9時まで)を狙うなど、事前に作戦を練ってお出かけください。公式サイトの「混雑状況」も役に立ちます。一般1500円ほか。

取材・文・写真/小吹隆文(美術ライター)

(Lmaga.jp)

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