京都で、浅井忠の明治美術工芸遺産展

日本洋画壇の先駆者として知られる浅井忠(1856~1907)。彼と仲間たちが近代関西の美術工芸に与えた影響を紹介する展覧会が、5月20日より「泉屋博古館」(京都市左京区)でおこなわれます。

浅井は1900年に『パリ万国博覧会』の鑑査と西洋画研究のためヨーロッパを訪れました。当時のヨーロッパはアール・ヌーヴォーの全盛期。その洗礼を受けた浅井は、デザインに強い関心を持つようになります。滞在中に京都高等工芸学校(京都工芸繊維大学の前身のひとつ)の図案家に誘われた彼は、帰国後に京都に移住しました。彼は同校で教鞭をとる一方、洋画研究機関として、聖護院洋画研究所、関西美術院を設立。また、陶芸家や漆芸家と図案化を結ぶ団体として、遊陶園、京漆園を設立します。そして自らもアール・ヌーヴォーを思わせる斬新なデザインを発表して、京都の工芸界に新風を吹き込みました。

同展では、京都工芸繊維大学に遺された、浅井忠、鹿子木孟郎、都鳥英喜など教授たちの作品と、彼らが教材として選んだ欧米の工芸品を紹介します。また、浅井や鹿子木らを支援した住友家ゆかりの品々も展示し、浅井をはじめとする面々が近代関西の美術工芸、美術教育、生活文化に与えた影響を再評価します。展示総数は約100件(会期中に展示替えあり)。

文/小吹隆文(美術ライター)

(Lmaga.jp)

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