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オムニバスライブとは、かくあるべき。そんな一夜の『星屑の隙間に木村基博』

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まるでオムニバスライブの手本のような一夜に、1万人を超える観客は熱狂的に盛り上がった。2月12日に「大阪城ホール」で開催された『星屑の隙間に木村基博』(通称・ホスキモ)。出演者はタイトルよろしく、スターダスト☆レビュー、KAN、スキマスイッチ、秦 基博の4組。それぞれが順序よく出番をこなす一般的なフェスやイベントとは一線を画す、その日、その場所、そのためだけに練り上げられたスペシャルな構成。思えば、6年前もそうだった。

この『星屑の隙間に木村基博』は、関西のイベント制作会社「グリーンズ」の設立20周年を記念して、2010年に一期一会のイベントとして今回と同じメンバーによって開催された。せっかくこのメンツが同じステージに立つならば、面白くしなければダメでしょうとばかりに、オムニバスライブにありがちな、初めての発見・偶然の出会いというメリットと、出演時間が短くて個性を出しにくいというデメリットに真正面から向き合うことに。

屈指のパフォーマンス巧者・スタレビとエンタテインメントの鬼・KANが中心となって、4カ月におよぶ綿密な打ち合わせとリハーサルを敢行。結果、4組がひとつのバンドとして常時ステージに居合わせ、この日限りのコラボはもちろん、それぞれがメインと黒子役を行ったり来たりと、これまで観たことのないライブショーが展開され、訪れた1万人の観客にかつてないディープインパクトを残したのだった(KANは公式サイトのコラムで「今後の活動に於いて、いや、それは私自身の人生に於いてたいへんに重要な経験であったと言っても決して大げさではないものです」と綴っている)。

そして、6年3カ月ぶりに幕を開けた『星屑の隙間に木村基博』。2カ月前のライブレポを掲載するのは異例ではあるが、やはりそれだけ特筆すべき内容だったから。前回同様、壮大なファンファーレに導かれながらクイーン『ボヘミアン・ラプソディ』のカバーで開幕。そして、スタレビの名作『夢伝説』、スキマ『ガラナ』、秦『キミ、メグル、ボク』、KAN『すべての悲しみにさよならするために』を続けざまに披露。スタレビ・根本がマントをなびかせながら華麗なギターソロを披露する場面では、スキマの2人がスポットライトと大型ファンで先輩の見せ場を演出。KANとスキマにいじられて、最年長・根本は「ちょっとは先輩を立てろよ(苦笑)」、末っ子・秦は「デビューして10年ですが、ここでは信じられないペーペーです(泣)」とぼやく姿は、『ホスキモ』ならではの光景と言えよう。

途中、根本が「(出演者の)みんなが好きな曲を好きにやるので」とリラックスムードに誘うが、なにを隠そう関係者に配られたセットリストには、出演陣のパートと役割、ステージの位置と移動、舞台セッティングなどが小さい字でびっしり!このセットリストを見るだけで、どれだけ緻密にこのショーが練られているか一目瞭然だろう。たとえば中盤、根本が大橋と秦にギターソロを横取りされるというコントがトピックに見えたKANの『桜ナイトフィーバー』。ここで観客にレクチャーされた「パンツ丸見え」という意味不明の振付が、そのとき限りのネタではなく、実はアンコール曲に対する大きなフリになっていた。そういう細かな演出こそ『ホスキモ』の真骨頂。台本なのかアドリブなのか、ハプニングなのか演出なのか。それすら分からないほど、この4組のチームワークは抜群で、ショーとして完璧な構成となっていた。

そして、ステージ横には着物姿の美人ママがスタンバイする「スナック451」。ここは「曲によってはヒマな人も出ちゃうんですが、ハケて楽屋に戻ったりしません」(根本)というように、手ぶらの出演者が待機するスペースで前回同様の演出であるが、そのスナック名の由来と『ホスキモ』のきっかけについてKANが語り始めた。

「デビューから僕を担当してくれていたグリーンズの横井さんと『面白いことやろうや』と。だけど、前回の開催からほんの3カ月後、病気で亡くなってしまいまして・・・。『ホスキモ』再演の気持ちは全員にあったものの予定が合わず、やっと今日開催することができました。しかも(今年は)7回忌でもあり、昨日なんて命日なんだよね」。そう、「スナック451」の読みは「ヨコイ」。ふと首からさげた関係者パスに目を落とすと、ちょいワルもとい、ウルトラダンディな横井氏が唯一、眉を垂らして自慢していた針すなお先生直筆の似顔絵。そして会場に響き渡る、スタレビの名曲『木蘭の涙』。関係者の脳裏を生前の横井氏の姿がかすめる。横井氏がいなければ、この『ホスキモ』は生まれなかった。それをここにしっかり記しておきたい。

後半戦では、2回目ながらお約束となったカンジェラの『よければ一緒に』を皮切りに、『と・つ・ぜ・んFall in love』、『愛は勝つ』、『全力少年』と、次々と国民的ナンバーが『ホスキモ』編成で繰り出され、アンコールラストには『ホスキモ』唯一のオリジナル曲、その名も『オリジナル』を全員で大合唱(ここでパンツ丸見えの振付が生きる)。ステージと客席がまさに一体化した3時間半の音楽絵巻。昨今のオムニバスライブに一石も二石も投じて、大団円を迎えたのだった。


(エルマガジン)

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