SNSで復活の兆し? 若者の聖地・大阪アメ村

1970~90年代には「流行発信地」として全国の若者が集まった、大阪「アメリカ村」(通称アメ村/大阪市中央区西心斎橋付近)。時代とともに人が減りつつあった街に、今再び若者が集まっている。そのカギとなったのは、紛れもなく「SNS」だ。

アメ村誕生のきっかけは、1969年に空間プロデューサー・日限萬里子氏が三角公園前にオープンしたカフェ「LOOP(ループ)」。以降、次々と若いデザイナーらが集まるようになり、空いていた倉庫や駐車場などを利用して、中古レコードやジーンズ、Tシャツ、古着、サーフボードなどをアメリカから輸入販売するようになった。当時の日本ではそれはレアなアイテムで入手困難だったため、一躍話題に。「流行発信地」として、音楽・ファッション・ダンス・アートの最先端が揃い、大阪だけでなく全国から若者が集まっていた。

しかし、盛り上がったのは主に1970~90年代。2000年代以降は、クラブなど大音量の音楽による騒音で、0時以降のイベントが禁止(風営法)などネガティブな話題も増え、「アメ村は危ないところ」というイメージがつき始めた。現在では落書きを消したり、防犯カメラを多く設置したりと街全体で改善し、そのイメージは払拭されつつあるが、今の10代~20代の若い世代にはかつての「若者のメッカ」としての街を知らない人が多いのも事実だ。

ところが近年、10代~20代前半の若者がアメ村に増えている。その理由のひとつが「SNS映えする個性派スイーツ」店の増加だ。「TOTTI CANDY FACTORY」の超巨大わたがしをはじめ、「Long Softcream」の約40センチもの高さのソフトクリーム、焼きたてメロンパンアイス・・・など写真を撮って投稿せずにはいられないスイーツを求めて、平日も行列ができている。店の前でわたがしと自撮りしていた女子高生3人組は「インスタ(グラム)でアメ村のスイーツを予習してきた」と話し、この後もスイーツ店をはしごするという。SNSで話題のものを見つけて、自身のインスタグラムやツイッターでたくさんの「いいね!」をもらうために自ら足を運ぶ・・・という流れで今、アメ村に若者が集まってきているのだ。

また、ただのかわいいソフトクリームやパンケーキではなく、大きすぎる、長すぎるなど「ツッコミ」どころがあるスイーツが多いのも、大阪ならではなのか。三角公園のすぐ近くに、今年2月に誕生したばかりのお店「PANBO」、こちらの名物は大阪名物「串カツ」ならぬ「串パンケーキ」だ。一口大のパンケーキやマシュマロ、フルーツが棒に刺さっており、自由にソースやパウダーをトッピングできるという、デコ好きな女子にはたまらない、これぞSNS映えスイーツ。お店は「『原宿カワイイ』に対抗した『大阪カワイイ』がコンセプト。アメ村は食べ歩きができる観光地なので、テイクアウトスイーツがぴったりなんです。周りの人気スイーツと合わせて楽しんでほしい」と、アメ村に出店した経緯を話す。

SNSの影響はファッションにも及ぶ。1994年、大阪・アメ村に開店した小さな古着店からスタートした「WEGO(ウィゴー)」が4月1日、2013年に閉店して以来4年ぶりに、ヴィンテージオンリーショップとしてアメ村に復活した。店長の吉川さんは「最近の若い人たちは、好きなミュージシャンや俳優さんがSNSでアップする写真を見て、その人が着ている服に興味が湧いたりと、カルチャーからファッションに入ることが多いです。ここ数年スポーツブランドミックスやユーズドを着る著名人が多く、その影響で古着に興味を持つ若者が増えているようですね」と話す。

店員もうまくSNSを利用し、ショップの公式アカウントで情報を発信する以外にも、SNSで話題となった著名人のコーディネートをチェックし、店内のマネキンに反映することもあるという。東京では、りゅうちぇるやゆうたろう(元々アメ村のサントニブンノイチに勤務)など、古着ショップの店員が人気となったのもSNSの影響で、今後アメ村からもカリスマ店員が生まれるかもしれない。

話題のグルメやファッションを知る手段が「雑誌」や「テレビ」という時代はもう終わり。若者の街を支えるのは「SNS」に合ったアイテム、ということで、アメ村自体がうまく軌道に乗りつつある。

(Lmaga.jp)

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