自然界の摂理をアートに昇華、神戸で新宮 晋の展覧会

兵庫県三田市にアトリエを構え、風や水などの自然エネルギーにより動く彫刻作品で国際的に知られている美術家・新宮 晋(1937~)。彼の大規模な個展『風と水の彫刻家 新宮 普の宇宙船』が兵庫県立美術館(神戸市中央区)で、5月7日までおこなわれています。

本展では美術館を一つの宇宙船に見立てて、新作を中心とする18作品を発表。同時に、過去のプロジェクトの映像、作品の模型、自然の力で自立する未来の村「ブリージング・アース」のプランなどを展示しています。作品は、風を受けて動くものと水を受けて動くものに大別できます。前者の多くは天井から吊るされており、室内の空気の流れを受けて軽やかに揺らぎます。後者は水を循環させた浅いプールの上に設置されており、シャワーのように降り注ぐ水を受けて複雑な動きを見せたり、作品本体の中に溜まった水を排出する際にゆったりとした動きを見せます。

作品が風や水を受けて動く。ただそれだけのことなのに、観客は目が釘付けになり、その場からなかなか離れることができません。その理由の一つは千変万化する動きの面白さです。そしてもう一つは、自然界の摂理が感じられることでしょう。二度と同じ動きを見せない作品を見ながら、我々は無意識のうちに自分を取り巻く環境や自然界の摂理に思いを馳せているのです。

新宮の作品はバリバリの現代美術ですが、世代を問わず説明抜きに楽しめるので、家族で出かけることをおすすめします。また、兵庫県立美術館の広大なスペースをフル活用しているのも大きな特徴で、安藤忠雄が設計した建築空間との響き合いも見どころのひとつです。

取材・文・写真/小吹隆文(美術ライター)

(Lmaga.jp)

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